「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。

動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。

「脳トレ漢字」第36回目は、「辛夷」をご紹介します。早春に白い花を咲かせる、ある樹木の名前です。

脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。

■「辛夷」はなんと読む?

「辛夷」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「からい」ではありません……

正解は……
「こぶし」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「モクレン科の落葉高木。春、葉より先に、大形の香りのある白色の6弁花をつける」と説明されています。3月中旬から開花するため、冬が明ける合図となる花を咲かせる樹木です。昔はコブシの花が咲く時期に田打ち作業を始めたことから、別名「田打ち桜(たうちざくら)」とも呼ばれています。

「こぶし」という和名の語源は、つぼみが開く直前の形が握り拳に似ていることからと言われています。また別の説として、つぼみではなく果実が握り拳に似ていることを語源とする考え方もあります。

■「辛夷」の漢字の由来とは?

なぜ「辛夷」を「こぶし」と読むのでしょうか? それはコブシの花のつぼみを乾燥させた漢方の名前「辛夷(しんい)」の漢字が、そのまま樹木の名前の漢字に当てられたからです。そのため、樹木を指す場合は「辛夷(こぶし)」と読み、そのつぼみを指す場合は「辛夷(しんい)」と読みます。

ちなみに、日本では「辛夷」は「こぶし」を意味しますが、中国ではこの言葉は「モクレン」を指します。この分かりにくさのためか、「辛夷」を単純に「拳」と表記する場合もあります。

■春の難読植物 「蒲公英」の由来は…… ?

同様に、漢方から漢字が付けられた植物として「蒲公英(たんぽぽ)」が挙げられます。

「タンポポ」は、開花前に乾燥させた漢方を「蒲公英(ほこうえい)」と呼んでいたことから、この漢字が当てられました。コブシもタンポポも日本語の当て字は、漢方の名前から由来していたのですね。

   ***

いかがでしたか? 今回の「辛夷」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 白いコブシの花を見つけられた際には、今回ご紹介したことを思い出していただければ、と思います。

来週もお楽しみに。

文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/

 

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