歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして…。うっかり漢字の読み方なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の方は、そろそろ錆びつき始めていて、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳とってきちゃって、なかなか思い出せなくて….」なんて言い訳するようでは、サライ世代の沽券に関わる?
そんなことにならないように、動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。
「脳トレ漢字」第30回目は、「出来」をご紹介します。「重版出来」といった使い方が有名です。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
■「出来」はなんと読む?
「出来」という漢字、読み方に心当たりはありますか? そのまま読むと「でき」となりますが……
正解は……
「しゅったい」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「事件が起こること」もしくは「物事ができあがること」と説明されています。「重版出来」の場合は、後者の意味になります。例えば、「近日中に出来」という文言は「近日中に完成」と受け取れます。
ちなみに「出来」を「しゅつらい」と読む場合もあります。本来は「しゅつらい」であった読み方が、音変化を経て、「しゅったい」となりました。今では「しゅったい」が一般的な読み方です。
■「出来」の漢字の由来とは?
「出来」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「出」は「現れる、発生すること」を、「来」は「至ること」を指しています。そのため「出来」は「事件が起こること」・「物事ができあがること」を意味します。
■「出来」の他にも 出版業界の難読漢字「書肆」「平仄」
「出来」は主に出版業界の業界用語に当たります。そこで、「出来」以外の出版業界で使われている難読漢字をいくつかご紹介していきます。
まずは「書肆」です。この漢字の読み方に心当たりはありますか?
正解は……「しょし」です。意味は「本屋」のことです。古くから書物を扱う店の呼称は数多く存在し、書肆の他にも書林・書房・書鋪などが挙げられます。
次は「平仄」です。この漢字の読み方に心当たりはありますか?
正解は……「ひょうそく」です。物事の「つじつま」「筋道」を指して使われます。「文法上の誤りがある」「リズムが悪い」といったもろもろの「非・美文」を指して「平仄が合わない」と表現します。
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いかがでしたか? 今回の「出来」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 使い慣れない業界用語でも、意味を押さえればそこまで難しいものではありませんね。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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