船上より望む景色。

コスタビクトリアは鳥取県の境港を出港、海を渡って釜山へと向かう。

※前回記事: 日本海の景勝地を巡りつつイタリア式船旅を楽しむ【コスタ ビクトリア日本発着クルーズ第1回】

鳥取県の境港で日本の景勝地を楽しみ、盛大な見送りの中出港した、コスタビクトリア。その夜、イタリア客船の伝統的なイベント「オフィサーとダンス」が行われました。

オフィサーとは船の士官(上級乗組員)のことですが、コスタビクトリアでは、船長、副船長、機関長など、そうそうたる船のトップが、ダンスの相手を務めたのです。

白い制服を着こなしたイタリア人の船長はじめ士官に手を取られて踊る舞踏絵巻は、日本海の上とは思えない別世界。まさに「私はだれ? ここはどこ?」と言いたくなるような、エキゾチックな夜となりました。

オフィサーとダンス。

オフィサーとダンス。

翌朝、このクルーズで唯一の海外訪問地となる韓国の釜山に到着しました。対馬海峡に面した釜山は、古くから日本と朝鮮半島を結ぶ海の玄関口であり、韓国最大の港湾都市として栄えてきました。

また、2005年にはAPEC(アジア太平洋経済協力)の首脳会議も開催され、その際の会議場であったヌリマルAPECハウスは、現在一般公開されています。194億ウオンを費やした円形ガラス張りの建物には、螺鈿細工の壁画が飾られ、実際に各国首脳が囲んだ円卓も現存しています。

ヌリマルAPECハウス。

ヌリマルAPECハウス。

一方、釜山市民の憩いの場といえば龍頭山公園といえるでしょう。園内には地上120mの釜山タワーがそびえています。

釜山タワー。

釜山タワー。

エレベーターでタワー展望台へ昇ると、市内中心部の全景が広がり、港にたたずむコスタビクトリアの姿も見えました。

ところで、この船で人気の夜食が、ピッツアです。おいしさの秘訣は、この船にシシリー島出身のピッツア職人が乗っていること。フルサービスの落ち着いたピッツアレストランで注文してから、1枚ずつ焼き上げてくれるので、出来立て熱々が味わえます。そしてなんと、何枚頼んでも無料! これこそ、コスタビクトリアの見逃せない名物といえるでしょう。

ピッツア職人。

ピッツア職人。

翌日、再び、船は日本に戻り福岡県の博多に入港しました。ここでは、2階建てのオープントップバスに乗り、福岡の多彩な景観を探訪しました。

オープントップバス。

オープントップバス。

まず、都市高速を走りながら海の景色を眺め、福岡ヤフオク!ドームや、福岡タワーなど近代的な建物を巡ります。屋根のないバスの2階席から見上げる高層の建物は、一段と見ごたえがあり、時折、手の届きそうな街路樹から降り注ぐせみ時雨が、一服の清涼剤となりました。

ところで、地元では「お櫛田さん」と呼ばれる櫛田神社は、博多の総鎮守であり、日本屈指の祭り・博多祇園山笠は、この神社の祭事として約770年前に始まったといわれています。

そして、はじめは一つであった山笠も、現在は、実際に担いで移動する舁き山笠と、展示用の飾り山笠に分かれたそうです。

祭りのクライマックスは何といっても7月15日最終日の追い山笠でしょう。一番山から七番山までの舁き山笠が「櫛田入り」と「コース」の合計所要時間を競う荒々しい祭りで、夏の博多を沸き立たせます。

一方、絢爛豪華な飾り山笠は博多人形師が生み出した美術品のような趣があり、櫛田神社の境内では、一年中飾り山笠を見ることができます。

櫛田神社の飾り山笠。

櫛田神社の飾り山笠。

櫛田神社から徒歩数分のところには、古き良き時代の博多の暮らしを紹介する施設「博多町屋ふるさと館」がありました。ちょうど展示棟の2階では、博多人形師松尾吉将氏による実演の真最中。手を美しく見せる工夫などを解説しながら、繊細な人形造りを見せてくれました。

隣の町屋棟の内部では博多織手織技能修士による機織りの実演が行われていました。明治中期の織元の住居兼工場を移築した歴史を感じる建物にパタンパタンと、機織りの音が響くと、そこだけ異なる時が流れているような気分を味わいました。

博多織。

博多織。

船に戻ると午後1時。そこで、今日のお昼はプールサイドのハンバーガーコーナーに直行しました。ここには、チーズバーガーやテリヤキバーガーに加え、バジルのソースを入れた珍しいイタリアンペストバーガーもありました。外国船のプールサイドで食べる無料のハンバーガーもまた格別です。

船上プール。

船上プール。

陽光の下の船上プールやジャグジーは、家族連れで賑わい、夏休みのファミリー旅行にぴったりの雰囲気。日本海を巡るコスタビクトリアの旅は、次回、京都府の舞鶴へと続きます。


取材・文/上田寿美子
クルーズライター。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて29年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社などのクルーズ講演も行う。著書に『豪華客船はお気に召すまま』(情報センター出版局)、『世界のロマンチッククルーズ』(弘済出版社)、『ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅』(産業編集センター)など。2013年からクルーズオブザイヤー選考委員。
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