舞鶴のコスタビクトリア。

舞鶴のコスタビクトリア。

前回の記事: 船上で船長とダンス!? そして航海は盛夏の釜山と博多へ【コスタ ビクトリア日本発着クルーズ第2回】

博多港を出港したコスタビクトリアでは、その夜、船長主催の歓迎パーティーが開催されました。場所は2階建ての大劇場フェスティバルシアターです。この船はドレスコードがやかましい船ではないので気楽ですが、もちろん、おしゃれを楽しむこともできます。

パーティー会場にスーツ姿のお父さんと、ワンピースのお母さんに手を引かれ、フリルのドレスの女の子が入場すると、それだけで、華やか、かつ、ほほえましいムードになりました。

船長主催歓迎パーティー。

船長主催歓迎パーティー。

会場ではカクテルがふるまわれ、船長がステージに登場し、スピーチと、シニアオフィサー(上級士官)を紹介しました。そして、杯を掲げ「サルーテ」とイタリア語で乾杯の発声をすると、日本人乗客たちも「サルーテ」と唱和しました。

コスタビクトリアでは、毎晩、日替わりのショータイムがありますが、今夜はハイライトともいえる「マイケル・ジャクソン・ショー」です。演じるのはマイケル・ジャクソンの物まねスターとして世界的に有名なICE。ラスベガスをはじめ、ヨーロッパやアジアでも人気のショーを、この船では予約も、追加料金も不要で見ることができるのです。

ご存じ「スリラー」はじめ、マイケル・ジャクソンの代表曲的なナンバーが軽快なステップと共に披露されると、客席から大声援が沸き起こりました。

翌日、コスタビクトリアは複雑に入り組んだ舞鶴湾のリアス式海岸を縫うように進み、京都府の舞鶴に到着しました。近隣には、京都府の中でも日本海側の景勝地が点在しています。

客室のベランダから望む舞鶴湾。

客室のベランダから望む舞鶴湾。

そこで、まず、伊根の舟屋に向かいました。舟屋とは船のガレージのことで、丹後半島の東端の伊根湾には約230軒の「伊根の舟屋」が並んでいます。透き通った海に、浮かぶように立つ舟屋の風景は独特で、重要伝統的建造物群保存地区に選定されているほど。

舟屋は母屋から道路を挟んだ海際に建ち、1階は、ガレージと作業場、2階は、生活の場として主に民宿や、客室として使われているそうです。その1軒に入ってみると、1階は、船の出し入れがしやすいように海に向かって傾斜し、そこから見る対岸の舟屋の風景も素晴らしいものでした。

伊根の舟屋。

伊根の舟屋。

町には創業1754年の歴史ある向井酒造という造り酒屋が昔の趣を残しています。赤米を使った「伊根満開」など珍しいお酒もあり、船に乗って買いに来る人のために船着き場も設置されていました。

伊根の舟屋への訪問は、魚が目視できるような澄んだ海と共に暮らす風景に触れ、心洗われるようなひと時となりました。

舞鶴に戻る途中には、日本三景の一つ天橋立があります。宮津湾と阿蘇海を隔てる約3.6kmの砂州で、観覧場所により、横一文字に見えたり、天に昇る龍のように見えたり、形が異なるといわれています。

そこでケーブルカーで、北側の笠松公園に昇り、砂州が斜めに伸びる「斜め一字観」の絶景を鑑賞しました。さらに、股を開いた間から覗くと海と空が逆転し、一段と美しく見えるという「股のぞき」にも挑戦してみました。

天橋立。

天橋立。

ところで、舞鶴は旧海軍の造ったレンガ建造物が数多く残る街です。そこで、舞鶴に戻り、赤れんがパークにも立ち寄りました。

パーク内の赤れんが博物館は、世界でも珍しいレンガ専門のミュージアム。明治36年、旧海軍の魚雷庫としてできた建物の内部は、今や、古代エジプト、メソポタミア時代のレンガから、日本レンガの歴史まで展示された博物館となっています。

赤れんが博物館。

赤れんが博物館。

船に戻ると、今日はクルーズのラストナイト。船内新聞を読むと今夜のドレスコードは「浴衣」、そして、21時45分から、プールサイドで「縁日パーティー」と記してありました。

「イタリア船の縁日とは?」と興味津々で会場へ行くと、輪投げ、的当て、氷の彫刻の実演などのイベントが行われ、老若男女でにぎわっていました。浴衣の着用率は30%ほどで、この船では「ドレスコード」といっても堅苦しい決まりごとではなく、旅を楽しむための服装のヒントであることが分かりました。

縁日パーティー。

縁日パーティー。

縁日の横では、ふんだんに果物を用意してフルーツビュッフェも開催。イタリア船のラストナイトは和風の縁日と、みずみずしいスイカやドラゴンフルーツで、盛り上がりました。

フルーツビュッフェ。

フルーツビュッフェ。

そして、旅は古都・金沢へと続きます。


取材・文/上田寿美子
クルーズライター。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて29年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社などのクルーズ講演も行う。著書に『豪華客船はお気に召すまま』(情報センター出版局)、『世界のロマンチッククルーズ』(弘済出版社)、『ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅』(産業編集センター)など。2013年からクルーズオブザイヤー選考委員。
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