船上から「氷河の崩落」の圧倒的迫力を体感!客船クラウン・プリンセスで行くアラスカクルーズ【その2】

グレーシャーベイ航行。

グレーシャーベイ航行。

文・写真/上田寿美子

>>前回までの旅路

5日目、いよいよこのアラスカクルーズのハイライトである「グレーシャーベイクルージング」の朝がやってきました。陸からはいけないグレーシャーベイを、今日はクラウン・プリンセスに乗って、悠々と氷河見物しながら航行する予定です。

氷河接近!

氷河接近!

グレーシャーベイとは、アラスカ州の南部に位置する、チルカット山脈とフェアウエザー山脈にはさまれた氷河湾で、アメリカの国立公園に指定されています。

公園の面積は1万3287平方キロメートル。そのうちの約27%が氷河におおわれ、名前のついている氷河だけでも50以上あるそうです。

そして、グレーシャーベイの大きな特徴が、ジョンホプキンス氷河やマージョリー氷河などまだ拡大を続けている氷河があること。つまり「地球は生きている」という証拠を目の当たりにできるチャンスでもあります。

朝6時、氷河や野生動物の解説をするためグレーシャーベイに精通したパークレンジャー(公園保護官)がクラウン・プリンセスに乗り込んできました。自然保護のため氷河湾内を航行できる大型クルーズ船は1日2隻のみなのですが、アラスカクルーズのパイオニアであり、地元との信頼関係の深いプリンセス・クルーズの客船クラウン・プリンセスはそのうちの1隻となり、リード氷河やランプルー氷河など次々に出現する氷河の絶景を望みながら奥へと入ってゆきました。

やがて、左手に青く輝くマージョリー氷河、正面に黒光りするグランドパシフィック氷河が現れると、船上の興奮は最高潮。ここは行き止まりのような場所なので、しばらく氷河と対峙するようにクラウン・プリンセスは動きを止めました。

太陽光を浴びて輝きを増すマージョリー氷河に見とれていると、突然隣に立っていた男性の乗客が呪文のようにつぶやきました。

「さあ、いまだ! お前が生きているところを見せてくれ!」

すると数秒後、驚いたことにその声につられたように、目の前で氷河が崩落し、唸り声のような轟音を上げ海中に没しました。まさに、それは地球の息吹を感じた瞬間でもありました。

氷河崩落‼

氷河崩落!

帰り道では、マーブル島にいる無数のトドを船上から見物。さらに、ザトウクジラがしばらく船と並走し、つかのまのランデブーも楽しみ、野生の宝庫ともいわれるグレーシャーベイの航海を満喫しました。

ところで、クラウン・プリンセスでは、ナイトライフも、多彩なエンターテインメントでアラスカのムードを盛り上げてくれました。例えば、地元の歌手によるアラスカ民謡ショー、アラスカの女性犬ぞりチャンピオンによる講演、さらに木こりチャンピオンが乗ってきて乗客との歓談タイムが設けられたこともありました。

アラスカ民謡ショー。

アラスカ民謡ショー。

また、この船のプールサイドには大型スクリーンがあり、泳ぎながら映画を見ることもできます。夜には「アラスカの星空の下の映画館」となり、デッキチェアで毛布にくるまり、ポップコーンを食べながら映画『X-MEN』を見たのも、良い思い出です。

プールサイドのスクリーン。

プールサイドのスクリーン。

夜は星空の下の映画館。

夜は星空の下の映画館。

6日目は、ケチカンへ。アラスカ州で4番目に大きな町で、世界のサーモンの都と呼ばれています。サケの遡上シーズンになると、町を流れるケチカンクリークで、力強く、川をさかのぼる鮭の姿を見ることができます。名物はもちろんスモークサーモン、サーモンオムレツ、サーモンジャーキーなどの鮭料理です。

さて、そんなケチカンで今回選んだのは、漁船に乗りカニ漁を見学する風変わりなオプショナルツアーでした。

まず漁師が見せてくれたのが、魚を使ったハクトウワシの餌付けでした。ケチカンはハクトウワシの生息地でもあり、地名も「羽を広げた鷲」に由来するそうです。しかし実際に野生のハクトウワシを近くで見ることはめずらしく、通常は森林にある白い点を探し、双眼鏡で拡大して確認する方法がとられます。

ところがここでは、漁師が魚を投げるとハクトウワシが獲物を捕りに船のすぐそばまで飛んでくるという仕掛けで、目の前で滑空する鷲の姿はとてもりりしいものでした。

さらに漁船は沖へと進み、アラスカ湾に仕掛けたカニ捕り網を引き揚げたり、船上で生きたタラバガニやタコを触ったりするワイルドなツアーは潮気もたっぷりでした。

蟹漁船ツアー。

蟹漁船ツアー。

獲物を捕りに来たハクトウワシ。

獲物を捕りに来たハクトウワシ。

船に帰ると、今夜はフォーマルナイト。ちょっとおめかしした紳士淑女が、船上に華やかさを演出します。

ガラ・ディナーのデザートには、世界的に有名なショコラティエのノーマン・ラブ氏がプリンセス・クルーズのために考案した特別なチョコレートデザートも登場し、甘くてリッチなフィナーレを飾りました。

ノーマン・ラブのチョコデザート。

ノーマン・ラブのチョコデザート。

さらにあと2日となったクルーズの名残を惜しみ、バルーンドロップパーティーも開かれました。これはたくさんの風船が天井から降ってくるカラフルなパーティーで、プリンセス・クルーズ恒例のさよならイベントでもあります。

そして、みんなで風船を割った後は、ロマンチックなダンスタイムとなりました。

風船トスパーティー。

バルーンドロップパーティー。

このクルーズの最後の寄港地は、カナダのビクトリアでした。カナダの中でも最もイギリスの伝統を残す町といわれ、今も尚、ビクトリア朝、エドワード朝のエレガントな英国スタイルの建物が残されています。

一方でビクトリアは「ガーデン都市」としても名高く、一年中花に溢れた美と香りの島でもあります。

午後7時にビクトリアに到着したクラウン・プリンセスから上陸すると、島内きっての花の名所「ブッチャートガーデン」へと向かいました。ここは、ブッチャート氏の石炭石採掘場跡地にジェニー・ブッチャート夫人が植物を植えたことから始まった花の庭園ですが、とくに今回は夜の庭園散策と、「花のディナー」がついた珍しいツアーでした。

昼間は何度か訪れたことのあるブッチャートガーデンですが、闇の中の風情は全く異なりました。

迷子にならないよう地図を片手に進んでゆくと、植え込みがライトアップされたサンケンガーデンに到着。花の色が漆黒を背景に浮かび上がり、その輝きは一層神秘的でした。さらにロスファウンテンでは噴水がライトアップされ、色とりどりの光と水のファンタジーを見せてくれました。

ローズガーデンのバラのアーチを見上げ、夜道を進み大きな赤い鳥居をくぐると、日本庭園に到着しました。ここは横浜出身の庭師・岸田伊三郎氏の指南を受けて作られたそうで、灯籠や鹿威しなど日本の情緒を垣間見ました。

庭園散策のあとは、レストランで花尽くしの宴会となりました。花で作ったサイダーやワインでのどを潤し、赤や黄色の食用花をむしゃむしゃ試食し、花をあしらったおつまみやチキンを食べ、夜ならでは大人のブッチャートガーデンの魅力を体験しました。

夜のブッチャートガーデン。

夜のブッチャートガーデン。

翌朝、シアトルに到着。アラスカの多彩な表情を見せてくれたクラウン・プリンセスの旅もここが終点です。大自然を満喫し、バラエティ豊かな7泊8日を過ごしたクルーズは、まさに、喧騒の世界からの逃避行となりました。

ぜひこの夏は、天然美溢れるアラスカクルーズに行ってみませんか?

【このクルーズに関する問い合わせ】
※ プリンセス・クルーズの日本語サイト
http://www.princesscruises.jp/

2017年はクラウン・プリンセスの同型姉妹船「ルビー・プリンセス」(11万3,561トン、乗客定員3,084名、2008年就航)が同様のコースでアラスカクルーズを行います。また2017年は、このクルーズコースが日本語サービス対象コース(日本語で対応するインターナショナルホストの乗船、船内新聞の日本語訳、和食やアジア料理の提供等)となります。

【ルビー・プリンセス8日間シアトル発着アラスカクルーズ】
航路:シアトル発~ジュノー~スキャグウエイ~ケチカン~ビクトリア(カナダ)~シアトル着
料金例:
■2017年5月6日発:
内側客室10万円から
海側バルコニー付き客室17万5000円から
■2017年8月12日発:
内側客室 13万8000円から
海側バルコニー付き客室 25万円から
(上記乗船代金のほかに別途、租税・港湾費用等が必要になります)

取材・文/上田寿美子
クルーズライター、クルーズジャーナリスト。日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。クルーズ旅行の楽しさを伝え続けて29年。外国客船の命名式に日本を代表するジャーナリストとして招かれるなど、世界的に活動するクルーズライター。旅行会社等のクルーズ講演も行う。著書に「豪華客船はお気に召すまま」(情報センター出版局)、「世界のロマンチッククルーズ」(弘済出版社)、「ゼロからわかる豪華客船で行くクルーズの旅」(産業編集センター)など。2013年からクルーズ・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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