早戸温泉|秘湯の宝庫・奥会津の絶景の天然薬湯温泉【魅惑の温泉案内 Vol.96】

奥会津は福島県会津地方の西南部、西は新潟県と接する7町村(柳津町、三島町、金山町、昭和村、只見町、南会津町、桧枝岐村)を指します。奥会津への足といえば旅情溢れるJR奥只見線です。しかし、2011年の新潟・福島豪雨に被害により、一部区間(会津川口駅~只見駅間)が今も不通となっています。現在は代行バスが運行していますが、一日も早い復旧が望まれるところです。

奥会津は、温泉愛好家なら、たとえ交通が不便であっても一度はつかってみたいと願う名湯の宝庫。前回(記事を見る)に引き続き、秘湯の趣ただよう奥会津の極上温泉をご紹介しましょう。

 つるの湯の露天風呂。

 

露天風呂から眺める景色が圧巻

奥会津の三島町、只見川沿いに湧くのが、開湯1200年以の歴史をもつ早戸温泉です。その開湯にまつわる、こんな伝説が残っています。<はるか昔、只見川渓谷の巨岩の下に一羽の鶴が飛来し、湧き出る温泉に傷ついた足を浸していた。それを見た人が自らも入浴してみたところ、手足の傷や腰痛がたちどころに癒された>。そんな魔法のような効能を持つ湯が湧くこの場所を湯治場として開いたのが始まりだそうです。

ひなびた湯治場として地元の人々に愛されてきた早戸温泉に、2004年、「つるの湯」という日帰り温泉施設がオープンしました。落ち着いた佇まいの館内には、男女別の大浴場と露天風呂、食事処、休憩施設が揃っています。

ここの温泉はなんといっても、露天風呂からの景色が圧巻です。悠々たる只見川とその渓谷美が手に取るように迫ります。訪れたのはちらちらと雪が舞う日。墨絵のようなモノトーンの世界のなかで、じっくりと湯浴みを楽しみました。新緑や紅葉の頃も、きっと素敵なはず。想像するだけでワクワクします。

つるの湯

つるの湯の露天風呂。

温泉の泉質はナトリウム塩化物泉。鉄分を含み、色は緑がかった褐色で、さらりとした肌触り。もちろん加熱・加温なし、源泉そのままのかけ流しです。神経痛や疲労回復はもちろん、打撲や骨折、婦人病などに効能があり、なかでも外傷や皮膚病の薬湯として広く知られています。また、この温泉は飲泉も可能で、慢性消化器病や便秘などに効果があります。味はほどよい塩味で、鉄分はそれほど強く感じません。

飲泉所も設置されている。

飲泉所も設置されている。

施設の裏手、源泉が湧く付近には温泉神社があり、薬師如来を祀っています。自然の恵みである温泉に感謝する心は、ここでも感じることができました。毎年8月22日には温泉神社まつりも開かれ、奉納神楽や奉納花火の打ち上げ、和舟の乗車体験なども行なわれます。また、自炊設備完備の湯治棟もありますので、のんびりと命の洗濯をしてみるのもいいでしょう。

温泉を守るシンボルである温泉神社。

温泉を守るシンボルである温泉神社。

【早戸温泉つるの湯】
住所:福島県大沼郡三島町大字早戸字湯ノ平888
電話:0241-52-3324
営業時間:9:00~21:00(冬期は~20:00、受付は30分前まで)
料金:大人(3時間)500円(18:00以降300円)

取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。

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