栃木県北部、那須塩原市の箒(ほうき)川沿いに点在する那須塩原温泉郷。箒川には「もみじ谷大吊橋」や「回顧の吊橋」など渓谷美を楽しめるポイントや、数々の滝があり、新緑と紅葉シーズンは多くの人でにぎわいます。
古くから塩原十一湯と呼ばれ、1200年の歴史を誇る温泉地で、約60軒の湯宿に対して源泉数はなんと約150! 硫黄泉や塩化物泉、炭酸水素塩泉、酸性泉など6種類の温泉が湧く、まさに源泉天国です。
泉質が様々ですから、成分に応じた効能もいろいろ。そのなかでも特筆すべきは、塩原の温泉は総じてメタケイ酸を多く含んでいるということです。メタケイ酸を多く含む湯は、とろんとした肌触りで美肌効果をもたらします。しっとり系の化粧水などにも配合されている成分で、天然の保湿成分といわれています。
一般に温泉1㎏中にメタケイ酸を100mg以上含んでいると“美肌の湯”と名乗れるのですが、塩原温泉郷では、温泉の約9割が同100mg以上。なかでも門前温泉・古町温泉は同200mg以上という超美肌形成の湯なのです。
さらに塩原温泉郷では、温泉が新鮮なので飲泉ができるところがあります。
元湯温泉の硫黄泉は糖尿病や痛風、便秘などに効果が期待できます。古町温泉などの塩化物泉は胃腸病などに効能が高く、大網温泉の硫酸塩泉は腸の蠕動運動を活発化する作用があります。
入浴とともに温泉の効能を実感できる飲泉。飲泉は決められた飲泉所で、決められた量を摂取してください。
【那須塩原温泉郷 公式HP】
http://www.siobara.or.jp/
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。