最近は各地のご当地キャラクターが人気です。函館の奥座敷といわれる湯の川温泉にも、先月、ゆのっ子「ちかつまる」という男の子のキャラクターが誕生しました。
ちかつまる(千勝丸)とは、松前藩主九代・高広の幼名で、重い病にかかった時に母親が見た夢のお告げで温泉で湯治させたところ、病が全快したといいます。この温泉が松前城の東にある湯の川温泉で、松前藩は温泉に薬師堂を再建し、鰐口(仏具の一種)を奉納しました。
明治になり、温泉ボーリングに成功すると、湯の川では入浴客が増え、温泉街としての形が整い始めました。交通網が整備され、海と山に囲まれた風光明媚な温泉は全国的に有名になりました。
温泉宿では、北海道での水揚げ量1位を誇るイカをはじめ、極上の海の幸が堪能できます。現在、約22軒の宿があり、32本の源泉から豊富な温泉が引かれています。泉質はナトリウム・カルシウム‐塩化物泉で、よくあたたまる温泉です。
日帰り入浴を受け付けている宿もありますので、函館観光の折にはぜひ立ち寄りたいものです。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。