写真・文/石津祐介
カナダの首都オタワと、古都キングストンをつなぐリドー運河。その全長は202kmにおよび47か所の水門によって結ばれている。今回は、希少なランの一種であるアツモリソウが群生するプルドン保護区と、リドー運河の終着地となる首都オタワの街を紹介しよう。

現在では、多くのプレジャーボートや観光船がリドー運河を行き交う
アツモリソウの群生地
オンタリオ州東部に位置するラナーク郡。その郡の西にあるプルドン保護地区には、カナダ最大のアツモリソウ群生地があり、6月中旬から7月初旬にかけて約10,000本以上の花が咲くことで知られている。この場所は1930年代にジョー・プルドンによって発見され、その後保護区となり現在に至っている。

保護区とアツモリソウに関する内容が説明されている

保護区では1万本以上のアツモリソウが咲き誇る
アツモリソウはランの一種で、現地では“Showy Lady’s Slipper Orchid”と呼ばれており、レギナエという種になる。湿地や沼の近くなどで生育し、花は袋状で赤紫や薄いピンクのような色を付ける。

袋状の花を咲かすアツモリソウ
保護区ではアツモリソウ以外にも様々な植物が生息しており、その植生や成り立ちなどが解説してあり、学びながら散策できるようになっている。湿地帯なので蚊が多く、虫除けや虫刺され薬を用意するのをお勧めする。

木製の遊歩道があり、保護区を散策できる
運河の終着点、カナダの首都オタワ
プルドン保護区を後にし、いよいよリドー運河の終着点となるカナダの首都オタワへと向かう。
オタワの街は、かつてリドー運河の建設に関わったイギリス軍将校ジョン・バイにちなんでバイタウンと呼ばれていた。1826年から1832年にかけて行われた運河の工事は困難を極め、硬い岩盤や湿地帯に悩まされた挙句、伝染病や事故などで多くの人が亡くなったという。工事にはアイルランド人やフランス系カナダ人が参加した。

かつてバイタウンと呼ばれたオタワ

オタワからキングストンまでを結ぶ202kmの運河
オタワの街の歴史やリドー運河の建設について知りたいなら、運河の水門近くにあるバイタウン博物館に行くといいだろう。博物館はもともと倉庫として使われていたオタワで最も古い石造りの建物だ。館内には、運河建設の当時を知る資料や記録文書などが展示されており、日本語でのオーディオガイドも用意されている。

オタワで最も古い石造りの建物でもあるバイタウン博物館

博物館では運河やオタワの街の歴史について詳しく学べる
運河の先には、ケベック州とオンタリオ州の境となるオタワ川が広がる。対岸へは「アクア・タクシー」と呼ばれる渡し船で渡ることができる。対岸からは、オタワ川に面したカナダ政府主要機関の建物が集まったパーラメント・ヒルと国会議事堂が一望できる。

オタワ川の対岸を結ぶアクアタクシー

パーラメント・ヒルと国会議事堂、リドー運河が一望できる
オタワでショッピングを楽しむ
買い物を楽しむなら、運河からほど近いバイワードマーケットがお勧めだ。ここは古くから続く歴史的な市場で、屋外市場も並び、食料品や日用雑貨など様々なお店が集まっている。オンタリオ州名産品のメープルシロップも揃っており、お土産を買うには困らない。

食料品から日用品まで様々なものが並ぶバイワードマーケット

名産のメープルシロップも様々なサイズが揃っている
オタワはコンパクトな街で、観光名所は集中しているので1日もあれば十分に周ることができるだろう。
リドー運河を結ぶキングストンとオタワ、そして運河の途中にある魅力ある街を訪ねる旅は、自分なりのスタイルで楽しむことができる。地図を広げながら、旅のプランを練ってみてはどうだろうか。

夜はライトアップされるオタワの街
協力:オンタリオ州観光局 http://www.ontariostyle.com/index.html
カナダ観光局 https://www.canada.jp
写真・文/石津祐介
カメラマン・ライター。旅行、アウトドア、野鳥、航空機などを中心に撮影、取材、執筆を行う。現在、埼玉県飯能市で田舎暮らし中。
