写真・文/石津祐介
ブリスベンからエアーズロックへ
【前回はこちら】
ブリスベン6時発のジェットスター667便で、エアーズロック(ウルル)へは3時間15分のフライトとなる。緑豊かなブリスベンを離陸すると、やがて赤茶けた大地、アウトバックが眼下に広がる。
このフライトは8時15分にエアーズロック空港に到着するので、ほぼ1日を観光に費やす事ができる。
今回は、エアーズロックのある世界遺産のウルル・カタジュタ国立公園を紹介する。
アボリジニの聖地ウルル
エアーズロックは、比高335メートル、周囲9.4キロメートルの世界最大級の一枚岩として知られている。1873年にイギリスの探検家により発見され、当時のサウス・オーストラリア植民地総督ヘンリー・エアーズにちなんでエアーズロックと名付けられた。エアーズロックは、1985年にオーストラリア政府からこの地に住むアボリジニのアナング族に返還され、植民地以前の呼び名であるウルルという名称に戻された。
ウルルへの登山
ウルルには世界中から多くの観光客が訪れており、特に登山は人気がある。現在、ウルルはアボリジニからオーストラリア政府に貸し出されているが、この地はアボリジニにとって聖地であり、これまでアナング族は登山の禁止を呼びかけてきており、2019年10月26日から登山が禁止となることが決定した。
ウルルへの登山禁止が決定してから、こぞって旅行会社が「登山の最後のチャンス」とばかりに駆け込み需要を見込んでツアーを組んでいるが、アボリジニの文化を尊重していただきたいと思う。
巨大な岩が連なるカタ・ジュタ
砂漠の大地に連なるカタ・ジュタ。カタ・ジュタとはアボリジニの言葉で「多くの頭」という意味で、36のドーム状の岩が、20km以上に渡って広がっている。ドイツのヴュルテンベルク王妃、オリガの名前にちなみオルガ山とも呼ばれている。ウルルと同じくアボリジニの聖地の一つで、多くの儀式が執り行われている。ここでは「風の谷」のハイキングが人気で、山の麓を歩きカタ・ジュタのダイナミックな風景を楽しむことができる。
ウルル・キャメルツアー
オーストラリアには、開拓時代にアフガニスタンから荷物運搬のために連れて来られたラクダが生息しており、現在も多数が野生で繁殖している。そのラクダの背に揺られながら、ウルル・カタジュタ国立公園を巡るキャメルツアーが人気だ。
空から眺めるウルル
ウルル・カタジュタ国立公園のダイナミックな景観を、空から眺める遊覧飛行も人気のツアーの一つだ。今回参加したツアーはヘリコプターによる約25分の遊覧飛行で、ウルルとカタジュタを上空から拝むことができる。
アボリジナルアート
数万年前から、この地に住み続けているアボリジニ。文字を持たない彼らは、独特の文様によってストーリーを形作り、自然崇拝による精霊信仰などスピルチュアルな側面からストーリーを「アボリジナルアート」として紡いでおり、ウルルの洞窟や岩にもその痕跡が残されている。
その文化を体験するツアーでは、アナング族のアーティストから様々なモチーフを学びオリジナルの作品を作ることもできる。
ナイト・アット・フィールドライト
ウルルの大地に設置された5万個以上のイルミネーションが、幻想的に映し出す「ナイト・アット・フィールドライト」。世界的なアーティスト、ブルース・ムンロ氏によるこのイベントは、2020年12月31日まで行われる予定となっている。
時間によって様々な表情を見せるウルルとカタ・ジュタ。飽きることのないダイナミックな風景と、アボリジニの伝統的な文化に触れられるエアーズロック。ここには訪ねる度に、色々な出会いがある。
次回はクイーンズランド州のビーチリゾート、ゴールドコーストを紹介する。
写真・文/石津祐介
カメラマン・ライター。旅行、アウトドア、野鳥、航空機などを中心に撮影、取材、執筆を行う。現在、埼玉県飯能市で田舎暮らし中。