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取材・文/関屋淳子

インドシナ半島西部、タイ、ラオス、中国、インド、バングラデシュと国境を接するミャンマー連邦共和国。かつてビルマと呼ばれたこの国の印象はどのようなものでしょうか。2016年、軍事政権からアウンサン・スーチー国家顧問のもとで民主化へと歩み出したこと、あるいは映画「ビルマの竪琴」でしょうか。

観光地としてはまだ馴染みのない国ですが、その魅力は多彩。4回にわたり、ミャンマーの今をご紹介します。

第3回はヤンゴンから飛行機で約1時間15分の地にある神秘的な湖・インレー湖を巡ります。

海抜1300mのシャン高原に位置するインレー湖は、ヨーロッパ人観光客にはバガンと並び、人気の地。湖は南北に細長く、南北に22㎞、東西に12㎞、清涼な気候と豊かな自然に恵まれた湖です。この湖で暮らすインター族は何世紀にもわたり独特な文化を築いてきました。水上に建てた高床式の家に住み、浮島の畑を作りトマトやナスなどの野菜を栽培し、片足で器用に櫓を操るカヌーで漁をします。このような生活文化に触れるにはボートで湖を巡るのが最適です。

インレー湖の独特の漁

インレー湖の東の湖畔に佇む「インレー・プリンセス・リゾート」。ミャンマー・ホテル観光省大臣の家族が運営する美しいホテルリゾートで、ここからボートツアーに出発。向かった先はインター族の住居を改装した水上コテージの「インレー・ヘリテージ」です。内部の施設をご紹介しましょう。

ボートに乗り込み出発

ボートからのインレー湖

●アクアリウム

湖の生態系や伝統漁法の展示があります。インター族の漁法は独特で、カヌーの先に立ち、片足で櫓を操りながら網を投げます。アクロバティックというかなんというか、不思議な漁法です。

アクアリウム内

漁をする人々

●ビルマーズ・キャット・ビレッジ

ビルマ猫の保護・飼育の施設です。ビルマ猫はかつて王族の間でペットとして愛されてきましたが、国内では19~20世紀に純潔のビルマ猫は絶滅。植民地時代にイギリスに渡った猫などがその種を保っていたといいます。近年、ビルマ猫を国内で復活させるプロジェクトが立ち上がり、国外から集められ、繁殖されています。ビルマ猫はしなやかで美しい体、短毛で金色の眼。希少な猫に触れることができる場所です。

ビルマ猫

●織物工房

蓮の茎から取った糸で織物を作る工房です。蓮の糸とは茎を折ると、その切り口から無数に出てくる細い繊維のこと。糸を紡ぎ、手織りで織物を仕上げる実演やショップがあります。蓮糸は現在はミャンマーでしか生産していないとのこと。お土産におすすめです。

蓮の茎から糸を取り出す

手機織り

次に水上に浮かぶ「ファウンドーウー・パゴダ」へ向かいます。ボートを乗り付け上陸。パゴダ内には不思議な力を持つという5体の仏像があります。仏像は信者から金箔を厚く貼られたため、元の姿がわからないほどで、まるで5体の金箔のドラえもんのようです。金箔を貼ることができるのは男性のみです。毎年10月にはこのパゴダ周辺でインレー湖祭りが開かれます。片足漕ぎのボートレースがあり、にぎやかな祭典です。

ファウンドーウー・パゴダ

冷涼な高原にあるインレー湖周辺は朝夕はしのぎやすく、湖を渡る風が心地よく、熱気あるヤンゴンや、仏塔が点在する土色のバガンとは違う、なにか穏やかな気分になるところ。ヨーロッパ人観光客が長期滞在をして周辺の村々をトレッキングするというのもよくわかります。

インレー湖を楽しむ人々

次はインレー湖の北に位置する「レッドマウンテンワイナリー」を訪ねます。じつはミャンマーにはフランス人醸造家による「レッドマウンテン」とドイツ人醸造家の「エタヤ」の2大ワイナリーがあります。標高1200m以上の地にレッドマウンテンワイナリーは2002年創業。日差しが強く昼夜の温度差があることからブドウ栽培を始め、シラー、ピノノワール、シャルドネ、カベルネソーヴィニヨン、ソーヴィニヨンブラン、テンプラニーリョなどでワイン造りを行なっています。ワイナリー見学とテイスティング、食事などが楽しめる小高い丘のワイナリー。エタヤとともに、「ミャンマーでワイン?」を覆す、なかなかの味です。

ワイナリー内部

シラーとソーヴィニヨンブラン

テイスティングを楽しむ観光客

地域によって様々な表情を見せるミャンマーの旅、いかがでしたでしょうか。ミャンマーは治安が良く、人々は善良で温和な表情が印象的です。タイやベトナムとはまた異なる独特の文化を探して出てみてはいかがでしょう。さて第4回は、ミャンマーの食とホテル事情についてご紹介します。

協力:ミャンマー・ホテル観光省、ミャンマー観光連盟

取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。

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