取材・文/関屋淳子
インドシナ半島西部、タイ、ラオス、中国、インド、バングラデシュと国境を接するミャンマー連邦共和国。かつてビルマと呼ばれたこの国の印象はどのようなものでしょうか。2016年、軍事政権からアウンサン・スーチー国家顧問のもとで民主化へと歩み出したこと、あるいは映画「ビルマの竪琴」でしょうか。
観光地としてはまだ馴染みのない国ですが、その魅力は多彩。4回にわたり、ミャンマーの今をご紹介します。
第4回は食とホテル事情を紹介します。
ミャンマー料理あれこれ
ミャンマー料理は食べたことがないという方が多いと思います。実は日本人の口に合う!のです。主食は米で、それに合わせるのがカレー。ただしインドカレーのようにスパイスがきいて辛いわけではなく、食べやすい味。どちらかというと煮物感覚です。また、野菜料理も豊富でヘルシーです。
ミャンマーでは揚げ物がとても人気で、揚げせんべいや野菜の天ぷら、かき揚げのようなもの、ひよこ豆の揚げ豆腐もあり、多種多様。たいていのレストランで出てきます。
ミャンマーのシャン地方の名物が米麺を使ったシャンヌードル。あっさりとした味わいで辛さもありません。汁ありと汁なしがあり、屋台などでいただくときは、麺の種類や具材など自分好みにカスタマイズできるとか。油を多用するミャンマー料理ですが、シャンヌードルでさっぱりリセットできます。
食事につきもののビール!ミャンマービールはモンドセレクション金賞を受賞するなどの、実力派。しっかりしたキレがあるラガービールで、ミャンマー料理に合います。ほかにはワイン、ウイスキーなども。ミャンマーでは敬虔な仏教徒はお酒は飲まないので、レストランでお酒を注文しているのは観光客ばかりです。
高級ホテルやリゾートホテルも
旅の拠点であるヤンゴンには外資系のチェーンホテルから、スパ・フィットネス・プールなどを備える5つ星ホテルまでそろっています。宿泊した「セドナホテルヤンゴン」はフランクミュラーが入るショップなど高級感もあり、上品な内装の客室は無料Wi-Fiも整っています。
今回、バガンとインレー湖というローカルエリアを訪ねましたが、それぞれのローカリティを活かしたホテルがあり、印象的でした。
バガンでは、「タラバ―ゲートホテル」に宿泊。オールドバガンにあり、開放的なゆったりとした空間にヴィラタイプの客室があります。プールサイドバーではフレンドリーなスタッフの気持ちのいいサービスが受けられます。また、スパではウェルカムマッサージが受けられました。
バガンの遺跡を360度見渡すことができるバガンビューイングタワーの近くにある「オーリアム パレスホテル&リゾート」。バガンの遺跡エリアでは郊外に位置しますが、バガンの遺跡と同化するようなヴィラが幻想的です。
インレー湖での滞在は「ロイヤルナディリゾート」。インレー湖畔の町・ニャウンシュエにあり、小さな湖に面しています。夜は湖からの風が心地よく、穏やかな時間が流れます。そしてインレー湖のボートツアーの拠点となった「インレー・プリンセス・リゾート」はスタイリッシュで洒落たデザインながら、湖の自然と溶け込む佇まい。敷地内には紙漉きや焼き物などのミャンマーの伝統工芸のデモンストレーションエリアもあります。
ミャンマーへの旅行は10月~3月上旬の乾季がおすすめです。まだまだ未知なる部分を秘めるミャンマーを訪ねてみてはいかがでしょうか。なんと、10月からは日本人と韓国人の観光ビザは免除になるとのこと。ヤンゴンだけでなく、ぜひ地方へも。ミャンマーの魅力はローカルにあり!です。穏やかなミャンマーの人々の笑顔に触れるだけでも心癒されますよ。
また、ミャンマーでは日本から寄贈された陽光桜が植樹され、昨年1月、首都・ネピドーで植樹式が行われました。日本とのつながりもますます深まりそうです。チェーズーベー(ありがとう)、ミャンマー。
協力:ミャンマー・ホテル観光省、ミャンマー観光連盟
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。