新着記事

専門家と歩く江戸城特別ツアー、江戸時代の幻の菓子に参加者驚く!

家康が作った江戸城をCGで完全再現したサライ・ムック『サライの江戸 江戸城と大奥』の発売にあ…

ほとんどの日本人が知らない「老眼」最新治療トレーニング

文/鈴木拓也多くの人が40~50代にかけて老眼にかかる。そして、大半の人は「年だから…

シチリア料理の定番中の定番!本格「イワシのパスタ」の作り方

取材・文/わたなべあやイタリア南部、地中海に囲まれたシチリア島。オリーブオイルやワイ…

ダイナミックすぎる『オメガパーク』で体重約1トンの巨大野生動物に出会う

文・写真/藤木 香(カナダ在住ライター)いつかこの目で本物のカリブー(トナカイ)を見…

キリシタン大名・高山右近と加賀前田家との意外な深イイ関係とは【にっぽん歴史夜話5】

 文/砂原浩太朗(小説家)キリシタン大名として著名な高山右近(たかやま・うこん、1552~1…

【夕刊サライ/福澤朗】カレーに合う日本酒!? 知る人ぞ知る「貴醸酒」に脱帽(福澤朗の美味・料理コラム 第3回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。金…

軽症うつ病の治療にも効果的な「不眠解消」の具体的方法【名医に聞く健康の秘訣】

取材・文/わたなべあや人生、どうしても壁にぶち当たることがあります。離婚や介護、過労…

白洲次郎夫妻の旧邸「武相荘」を味わい尽くす写真イベント《Art of Life(日常の美)》

終戦直後、GHQとの折衝を担った実業家・白洲次郎と、日本の美意識を探究しつづけた稀代の随筆家…

【夕刊サライ/パラダイス山元】突き抜けた、極端なことだらけの生まれ故郷への旅(パラダイス山元の旅行コラム 第3回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。木曜日…

レストランでちょうどいいワインを頼める“魔法の言葉”とは?【食いしん坊の作法 第5回】

文/山本益博「フランス料理が苦手です」という方に、その理由を聞くと、一昔前は、食事の…

サライ最新号

ピックアップ記事

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

旅行

天空の列車「アンデス中央鉄道」で南米大陸の屋根を行く(ペルー)

文・写真/原田慶子(ペルー在住ライター)

世界文化遺産の街リマ旧市街と、ペルー有数の穀倉地帯と名高い中央アンデスの街ワンカヨを結ぶ観光列車「アンデス中央鉄道」。その魅力は何といっても、他に類を見ないダイナミックなルートだ。

海岸沿いのリマを出発した列車は、南北アメリカ大陸で最も高い場所にある鉄道駅を経由し、13時間かけてワンカヨに到着する。世界に山岳鉄道は多々あれど、一度の乗車で4631mもの標高差を体験できる列車はこのアンデス中央鉄道だけ。今回は、そんなアンデス中央鉄道の旅の魅力を紹介しよう。

*  *  *

「アンデス中央鉄道」は、アンデス山脈で採掘される豊富な鉱物や農作物を運搬するため、19世紀後半からおよそ38年の歳月をかけ建設された山岳鉄道。ペルー随一の港湾都市カリャオを起点とし、途中で鉱山都市セロ・デ・パスコ行きとワンカヨ行きに分かれる。

2006年以降、アンデス地方が乾季に入る数か月の間だけ、リマとワンカヨを結ぶルートを利用した観光列車が走るようになった。年によって前後するが、2018年は3月末~11月まで9往復の運行が予定されている。

アンデス中央鉄道の観光列車は、リマ旧市街のデサンパラードス駅から旅立つ。この駅舎の建物は現在ペルー文化省が管轄するカルチャーセンターとして利用されているが、観光列車が発着する年数回だけは駅舎としても機能する。

客車は先頭の機関車に直結される「クラシコ」と、その後方に続く「トゥリスティコ」の2クラス。クラシコの座席は対面4人掛けで背もたれは可動しないが、トゥリスティコは2人掛けでゆったりと座れるリクライニングシートを採用。最後尾のバーや展望車にも近く、お勧めの席だ。

列車は朝7時過ぎにデサンパラードス駅を出発。パンとフルーツ、飲み物など軽い朝食サービスの後、約2時間で標高1513mのサン・バルトロメ駅に到着し、機関車の転車を行う。特に車内アナウンスもなく突然作業に入ってしまうところは、なんともペルーらしい。15分ほど停車するので、一旦降りて作業の様子を見学してみるのもいいだろう。

58の橋と69のトンネルを抜け、スイッチバックを6回繰り返しながらどんどん山を登っていくアンデス中央鉄道。展望車から軌道を振り返ると、こんなクネクネとした山道をよくまあ駆け抜けてこられるものだと感心するに違いない。アンデスの谷間をぐいぐいと力強く前進するアンデス中央鉄道。一方、その建設は難航を極めたと伝えられている。

19世紀半ば、ペルー各地で数々の鉄道計画が持ち上がっていた頃。1851年に南米大陸初となるカリャオとリマ間の鉄道が開通し、その後資源が豊富なアンデス方面まで延伸されることになった。

1870年に始まったアンデス中央鉄道建設事業には、マカオから連れてこられた中国人労働者(クーリー)やチリ人などおよそ1万人の労働者が投入された。しかしアンデスの峰々は想像以上に険しく、加えてオロヤ熱(バルトネラ症)と呼ばれた原因不明の熱病により7000人もの死者が出た。戦争や資金不足も重なり工事は度々中断、ワンカヨ駅まで鉄道が開通したのは1908年9月、38年後のことだ。

……と、歴史の授業はこれくらいにして、次は車内サービスについて説明しよう。客車内は冷暖房完備、食事は朝・昼食のほかドリンクサービスもある。後部に連結されたバー専用車両では、ペルーを代表する国民的カクテル「ピスコ・サワー」を始めアルコール類も楽しめる。

また医療スタッフも乗務し、高山病対策としてコカ茶や酸素吸引器が準備されている。少しでも体調の異変を感じたら、我慢せず早めに相談しよう。

最後尾の展望車は、アンデスの風を直接感じられるまたとないスペースだ。

リャマやアルパカの姿が見えたら、そこはもう標高3000mの世界。樹木が消え、まわりが地衣類やイチュと呼ばれる背丈の低い草ばかりになったら4000m付近だと思えばいい。こうした景色が広がり始めたら、この旅の最高地点ガレラ駅はもうすぐだ。

午後1時半を過ぎるころ、列車はガレラ駅に到着する。停車時間はわずか10分程度なので、上着とカメラを持ってスタンバイしておこう。標高4781m、空気の薄さとは裏腹な超ド級の解放感。この不思議な感覚は、アンデス中央鉄道の旅でしか味わえない。

“山”と聞くとどうしても尖った峰を想像してしまうが、南米大陸を貫くアンデス山間部の風景は大平原さながら。周囲の5000m級の山々が“丘”に見えてしまう。

ガレラ駅を発ってしばらくすると、待ちに待ったランチタイムだ。この日のメニューはペルー風ポテトサラダと鶏肉の煮込み、ご飯、パン、ビスケット、そしてカップケーキだった。味は悪くないが、高地で食べるにはちょっと胃に重いとりあわせだ。フルーツなどを持参したほうがいいかもしれない。

アルパカたちに見守られながら列車は徐々に高度を下げ、標高3745mの鉄道分岐点「オロヤ」でワンカヨ方面に進路を取る。

ダイナミックな地層がむき出しになったオロヤ周辺の山々。

オロヤを過ぎて半時ほど経ったあたりから、のどかな田園風景が広がり始める。アンデスの古都ハウハからワンカヨに至るマンタロ渓谷は、首都リマの台所を支える一大穀倉地帯。ジャガイモやトウモロコシといったアンデスならではの作物だけでなく、その温暖な気候からレタスやキャベツのような葉物野菜、さらには果物も多く栽培されている。

この辺りまで下るとガレラ駅との高低差はおよそ1000m、身体もぐっと楽になっているはずだ。「アンデスの夕暮れを眺めながら軽く一杯」と誰もが思うのだろう、この時間帯のバーは満員御礼。ピスコ・サワーが飛ぶように売れていた。

終着駅ワンカヨには夜8時過ぎに到着。4631mもの標高差を1日で走破したタフな列車は、2~3日後再び首都リマへと戻って行く。

*  *  *

以上、今回はペルーの観光列車「アンデス中央鉄道」の旅の模様をご紹介した。雄大なアンデスの峰々とけがれのない空の青さを、ぜひ体感しにきてほしい。

【アンデス中央鉄道の旅】
チケットはアンデス中央鉄道の公式サイト www.ferrocarrilcentral.com.pe で購入できるほか、各旅行代理店で手配可能。

文・写真/原田慶子(ペルー在住)
2006年よりペルー・リマ在住。『地球の歩き方』(ダイヤモンドビッグ社)や『トリコガイド』(エイ出版社)のペルー取材・撮影を始め、数々の媒体やサイトにペルー旅行情報を執筆。海外書き人クラブ所属。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. ダイナミックすぎる『オメガパーク』で体重約1トンの巨大野生動物に…
  2. インカ帝国悲劇の舞台!ペルーの古都「カハマルカ」を歴史散歩する
  3. ボルガ河クルーズ、ロシアの原風景を堪能する魅惑の船旅
  4. タイ・チェンマイにある幻の都「ウィアン・クム・カーム」遺跡を訪ね…
  5. スタインベックの傑作『怒りの葡萄』の舞台を辿るルート66の旅
PAGE TOP