取材・文/鳥海美奈子

フランスの新幹線TGVで、パリからわずか45分で到着するシャンパーニュの都市ランスは、世界遺産に指定される街です。シャンパーニュのイメージそのままに、訪れる人を華麗な気分へと誘ってくれます。

その象徴は、やはり18世紀の建造物を今に残すノートルダム大聖堂でしょう。

正面から眺めると建築物は完全に左右対称。入口では、ゴシック最盛期の傑作ともいわれる立像を見ることができる。

ブルボン朝の歴代フランス王は、ランスで戴冠式を挙げる慣習がありました。15世紀の百年戦争の際に、神のお告げによりフランス軍を率いたジャンヌ・ダルクは、イギリスに占領されていた街を次々と奪回していきます。そして、フランス王太子シャルル7世の戴冠をここで行ったのです。

大聖堂の内部にはそのシャルル7世の戴冠式の様子が描かれた絵や、画家シャガールによる青いステンドグラスもあり、見所のひとつとなっています。

レストランなどが建ち並ぶ、ランスの中央通りに佇む像。華麗な雰囲気が街全体に漂っている。

そんな観光都市ランスはシャンパーニュの中心地でもあります。そのランス市内では、多くのシャンパーニュメゾンがカーヴなどの見学を受け入れています。日本でも有名なヴーヴ・クリコ、モエ・エ・シャンドン、ポメリー、テタンジェ、マムなどです。

たとえば有名メゾンのひとつ「ポメリー」では、訪問の予約をウェブサイトから行うことができます。シャンパーニュ特有の真っ白なチョーク質土壌を使って造られた、華麗にライトアップされたカーヴを見学しながらポメリーの歴史についての説明を聞き、最後には試飲をすることもできます。所要時間は試飲込みで60分です。

また、毎年4月には試飲会が多々開催され、シャンパーニュのプロなどがここに集結し、いっそう華やぎを見せます。

試飲会では生産者がブースに立ち、自らのワインについて説明してくれる。味わいだけでなく生産者のワイン造りの方法や哲学を知る良い契機になる。

そんなシャンパーニュ地方で最も有名なシャトー・ホテルが、ランスにある「レ・クレイエール」です。20世紀初頭、7ヘクタールもの敷地に建てられた壮麗なシャトーは、もともとはポメリー家の邸宅でした。このホテルは、フランス観光開発機構から5つ星の認定を受けています。さらにホテル内にあるレストラン「ル パルク」はミシュラン2つ星を獲得しています。

歴史を感じさせる名門ホテル「レ・クレイエール」

「レ・クレイエール」内で行われた試飲会風景。レコルタン・マニピュラン(RM)と呼ばれる小さな農家制の生産者が集った。

またランスの街を歩くと伝統的な赤レンガを配した美しい家々を目にすることができます。

赤レンガを使った、伝統的なシャンパーニュスタイルの家。邸宅も多く、この地方の経済的豊かさを物語っている。

以上、今回はシャンパーニュの中心都市ランスの見どころをご紹介しました。フランス旅行の際は、パリからも日帰り旅が可能なランスへ、足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

【ランスへのアクセス】
TGV(高速列車)でパリから45分、ストラスブールから1時間55分、ブリュッセルから2時間10分

※ ランス | フランス観光 公式サイト – フランス観光開発機構

取材・文/鳥海美奈子

 

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