成就院と星井寺|由比ヶ浜へと続く石段の参道【鎌倉名刹紀行6】

文・写真/鈴木拓也

由比ヶ浜にほど近い極楽寺にある真言宗大覚寺派の成就院は、平安時代に弘法大師(空海)が護摩修法を行った地に建立された。時は1219年、創建は執権北条泰時である。その後1333年の新田義貞による鎌倉侵攻に巻き込まれて焼失し、西ヶ谷に移った。1688年元禄元年・中興の祖となる祐尊が、元の地に成就院を再建し今に至る。

成就院は、結界門をくぐり、煩悩の数である一〇八つの石段参道を上ったところにある。長い参道を振り返ると、芥川龍之介や国木田独歩が愛した由比ヶ浜を一望できる。

成就院参道から由比ヶ浜を望む

参道より山門をくぐった右手に真言宗の宗祖、弘法大師の行脚像が出迎える。山門で一礼したのち進んだ正面に本堂がある。

成就院の弘法大師行脚像

成就院の本堂

本堂には、本尊・不動明王の他に、大日如来、聖観世音菩薩、弘法大師座像、地蔵菩薩が祀られている。ここは、鎌倉三十三観音第二十一番札所であり、聖観世音菩薩をめあてに参拝に訪れる人も多い。

堂内への立ち入りや写真撮影は不可となっているが、その代り本堂の右手に、「本尊 不動明王 御分身」像が安置されている。ここは「縁結び祈願のスポット」として知られ、御守りとして待ち受け画面にするなど人気がある。

縁結びなどの御利益があると人気の不動明王御分身

さて、境内を出て、東側の参道を再び一〇八段を下り、道なりに歩いてゆくと屋根型の蓋をかぶせた井戸が見える。これは「星の井」という名の井戸で、鎌倉十井のひとつに数えられる。

奈良時代の昔、昼間でも井戸の水面に明星の光が映ったことからこの名がついたが、地元民からその噂を聞いた高僧行基が行ってみると、井戸の中に虚空蔵菩薩の姿を見た。行基は、ここに堂を建て自ら彫った虚空蔵菩薩像を安置したという。

のちに源頼朝が、この像を秘仏としたが、これを祀るのが、井戸のそばに位置する星井寺である。

秘仏虚空蔵菩薩像を祀る星井寺の虚空蔵堂

かつては、35年に一度だけ開帳が許された秘仏だが、熱心な信者の意に沿うため毎年1月13日に開帳が行われるようになった。秘仏は現在、成就院の境外仏となっている。

成就院、星井寺はともに、奈良・平安の古き伝説を秘めた霊力みなぎる古刹である。鎌倉を訪れた際は、ぜひ足をのばしてほしい。

【成就院】
住所:鎌倉市極楽寺1-1-5
電話:0467-22-3401
公式サイト:http://www.jojuin.com/
拝観時間:8:00~17:00(11月1日~3月1日は16:30まで。ご朱印受付は9:00から)
交通:江ノ島電鉄極楽寺駅下車徒歩約3分

【星井寺】
住所:鎌倉市坂ノ下18-28
拝観時間:随時(ご朱印受付は成就院にて)
交通:江ノ島電鉄極楽寺駅下車徒歩約5分、江ノ島電鉄長谷駅下車徒歩10分

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

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