文・写真/佐竹敦

五稜郭(ごりょうかく)といえば、北海道を代表する観光地の一つでもある、函館の五稜郭を思い浮かべることでしょう。でも、ほとんど知られていませんが、長野県の佐久市にも「五稜郭」が存在しているのです。その名を「龍岡城五稜郭」と言います。

では実際に現地を訪ねてみましょう。

この「龍岡城」は、大給松平家(おぎゅうまつだいらけ)の最後の藩主である松平乗謨(のりかた)によって築城されました。当時、幕閣に連なり老中格や陸軍総裁を務めた乗謨は、蘭学に通じ、西洋の築城技術にも詳しかったことから、フランスのボーバン元帥がリール市に築いた星形の堀をもつ稜堡式城郭をモデルとして築かれました。そして函館の五稜郭とともに、日本に二つしかない五稜郭の一つが誕生したのです。

入り口の案内板には、確かに函館五稜郭と同じ形状が記されています。文久3年(1863)に着工し、竣工したのは慶應2年(1866)とのことです。幕末に、わずか3年で築かれたことがわかります。

堀に沿って城の周りを歩いてみると、確かに星形になっていることがわかります。

堀や石垣が複雑に屈折しています。

では橋を渡って城址へと入っていきましょう。

現在、城址内は小学校の敷地となっています。が、石垣や堀は築城当時の状態をよくとどめています。

また、城址に隣接して建てられている「五稜郭であいの館」には、龍岡城の図面や航空写真、模型等といった資料が展示されていて、龍岡城の歴史や概要を知ることができます。

龍岡城の模型

さらに龍岡城の北東約500mの山の中には「五稜郭展望台」が作られていますので、龍岡城を俯瞰して見ることもできます。

五稜郭の形状が、よくわかりますね。

以上、今回は“もう一つの五稜郭”こと、長野県佐久市の龍岡城五稜郭を紹介しました。

函館の五稜郭に比べてるとまったく知名度がなくほとんど知られていないですが、紛れもなく星形をしている城跡でした。皆さんも一度訪ねてみてはいかがでしょうか?

文・写真/佐竹敦
日本全国の即身仏・一之宮・五重塔・三重塔・滝百選・棚田百選・国分寺跡をすべて訪ね歩いた一人旅の達人。テレビチャンピオン滝通選手権出場。主な著書に「この滝がすごい!」「日本の滝めぐり」等。テレビ東京の「厳選!いい宿ナビ」のコラム執筆、@nifty温泉の記事執筆等、ライターとしても各メディアで活躍中。

 

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