長谷寺|巨大な十一面観音菩薩像の奇しき由来とは【鎌倉名刹紀行2】

長谷寺の本堂(観音堂)

文・写真/鈴木拓也

長谷寺は、鎌倉幕府創建より450年も前にさかのぼる聖武天皇治世の736年に開創した、鎌倉有数の古寺である。

寺に伝わる縁起によれば、721年に大和国(現在の奈良県)の長谷寺の開山である徳道上人の本願により、2人の仏師が巨木から2体の観音像を三日三晩で彫り上げたという。

そのうち1体は、大和長谷寺の本尊となり、もう1体は衆生済度の誓願を込め、開眼供養を修した行基によって海中へ奉じられた。

15年後、この観音像は相模国の沖合の海面に忽然と現れる。大和長谷寺の開基・藤原房前が駆けつけ、観音像は鎌倉へと遷座され、鎌倉の長谷寺開創の礎となったとされている。

その観音像は、長谷寺の本尊として本堂に祀られている。像高は9.18m、日本最大級の木彫仏であり、全国から多くの参拝者が訪れる。

通常は写真撮影不可の観音像ではあるが、このたび特別な許可を頂き、以下に掲載する。

長谷寺の十一面観音菩薩像(全体)

長い歴史を誇るだけに、長谷寺には本尊以外にも数々の寺宝がある。その多くは、2015年に本堂に隣接してできた『観音ミュージアム』に収蔵・展示されている。

展示物には、現在の本尊の前に祀られていた十一面観音菩薩立像、三十三応現身像(鎌倉市指定文化財)、梵鐘(重要文化財)などがある。

『観音ミュージアム』の十一面観音菩薩立像(前立観音)

『観音ミュージアム』の十一面観音菩薩立像と三十三応現身像(一部)

『観音ミュージアム』の梵鐘

『観音ミュージアム』を出て、本堂を挟んだ反対側にあるのが阿弥陀堂だ。

中央には、源頼朝将軍の厄災消除を祈願して造立されたという阿弥陀如来坐像が座し、右には無垢の如意輪観音像が安置されている。

長谷寺の阿弥陀如来坐像

長谷寺の如意輪観音像

長谷寺には、仏像以外の特筆すべき文化遺産として、経蔵が挙げられる。中には、回転式の大きな書架があり、そこには一切経が収められている。

この書架を一回転させると一切経を全て読誦したのと同じ功徳が得られるとされる(経蔵内の書架は公開されているが、回せるのは毎月18日ほか指定された日のみ)。

長谷寺の経蔵

このほか、長谷寺には弁天堂、弁天窟、地蔵堂など幾つもの見どころがあり、初夏には約40種、2500株のアジサイが咲く。また、由比ヶ浜から三浦半島までの眺望が得られる景勝地で、鎌倉八景のひとつに数えられる。

都会の喧騒に疲れたら、ぜひとも訪れたい名刹である。

長谷寺のもう一つの主役アジサイ

【長谷寺】
住所:鎌倉市長谷 3-11-2
電話:0467-22-6300
公式サイト:http://www.hasedera.jp/
拝観時間:8:00~17:00(10月~2月は8:00~16:30)
交通:鎌倉駅からバスで「長谷観音」バス停下車徒歩3分。または、江ノ電長谷駅下車徒歩5分/藤沢駅からは、江ノ電「長谷駅」下車徒歩約5分

文/鈴木拓也
2016年に札幌の翻訳会社役員を退任後、函館へ移住しフリーライター兼翻訳者となる。江戸時代の随筆と現代ミステリ小説をこよなく愛する、健康オタクにして旅好き。

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