近年、ゲストへのおもてなしを重視する結婚式を「おもてなし婚」と呼ぶことがあります。「おもてなし」とは、心を込めた接待のこと。「おもてなし婚」に厳密な定義は存在しませんが、ゲストに喜んでもらうことを目指した結婚式全般が「おもてなし婚」といわれています。
現在の結婚式は、新郎新婦の考えを尊重し、披露宴の形式も多様化しています。とはいえ、ゲストへの礼儀として、細やかな心遣いは欠かせないでしょう。「新郎新婦と親の自己満足の披露宴だったな」と思われないためにも、ゲストに喜んでいただくだけでなく、負担にならない配慮も必要です。
本記事では、披露宴でゲストに満足していただけるような、おもてなしのポイントや不満に思われる事例をご紹介します。
目次
披露宴のおもてなしとは?
披露宴でのおもてなしポイント
結婚式でゲストが不満に思うこと
最後に
披露宴のおもてなしとは?
披露宴のおもてなしとは、料理や演出、引き出物のみならず、会場のアクセスのしやすさなど、ゲストのことを考えて配慮された項目のこと。結婚式を「感謝を伝える場」として捉え、今まで新郎新婦を見守ってきてくれた人々へ「結婚式で恩返しがしたい」と考える夫婦もいます。おもてなしのために、新郎新婦にかかる予算を抑えたり、ゲストの人数を減らして、その分おもてなしの質を上げるケースも珍しくありません。
「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によると、2023年の招待客一人あたりの式・披露宴にかかる平均費用は、「8.9万円」でした。2017年は「6.4万円」だったことから、ゲスト一人あたりにかける費用は、年々増加傾向にあることがわかります。
※「挙式、披露宴の総額」をゲスト数で割って算出(参考:「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」 )
披露宴でのおもてなしポイント
披露宴でのおもてなしは「料理・ドリンク」や「演出」、「引き出物」に反映させることが多いようです。ここでは、披露宴でのおもてなしをそれぞれご紹介します。
料理
多くのゲストにとって、料理は披露宴での楽しみの一つです。料理での主なおもてなしは、以下の方法があります。
・料理やドリンクの質を向上
・地元ならではの食材を使用
・和洋選択制
試食会は、親も参加可能な会場がほとんどです。不安があれば、親子で試食会に参加されることをおすすめします。
また、下記の点には注意が必要です。
・好き嫌いの確認
・アレルギーの確認
・高齢者向けの食べやすい料理を用意
・子ども用メニューを用意
予算や時間はかかっても、可能なかぎり一人ひとりの要望には、きちんと向き合いたいものです。
演出
披露宴での演出は、ゲストが興味を持てるものを用意します。
例えば、
・デザートビュッフェ
・ゲスト全員が登場するムービー上映
・プロの演奏やショー
というような演出です。
内容によっては、全員が自由に歩き回り、会話を楽しむことができます。
披露宴での演出で、新郎新婦がやりたいことを優先するのは、間違いではありません。しかし、「自分がこの結婚式のゲストだったら、楽しめる内容か否か」をよく考えましょう。
引き出物
引き出物は、「披露宴に参列してくださったお礼」としてゲストに贈る品物のこと。引き出物に関するおもてなし方法は、以下の2点です。
1:ゲストの好みに合わせる「贈り分け」を導入
「贈り分け」とは、ゲストによって異なる引き出物を用意すること。相手の好みや年齢にあったものを選んでいるので、従来の引き出物より喜んでもらえる可能性が高くなります。
本来、贈り分けは「ご祝儀の金額が異なる場合、引き出物に差をつける」という意味合いが強いものです。しかし、おもてなし婚の場合、ご祝儀の差額のあるなしにかかわらず、贈り分けを導入される方もいらっしゃいます。
選ぶ側は大変ですが、その分それぞれのゲストにあった品物を贈ることができ、喜ばれるでしょう。親戚への引き出物は、親が積極的に関わりたいところです。
2:引き出物の配送サービスを利用
最近では、引き出物を後日、自宅に郵送する「配送サービス」を採用される方が増えています。結婚式当日は手ぶらで帰宅できるので、ゲストからも好評なサービスです。
配送サービスを利用しない場合は、コンパクトな引き出物を選びましょう。重くてかさばるものは、持ち帰るのが大変です。特に遠方のゲストであれば、大きな荷物を自宅まで持ち帰ることになります。そうなると、ゲストにとっては不便でしかありません。ゲストへの負担を増やさないこと、こうした配慮もおもてなしの一つです。
結婚式でゲストが不満に思うこと
残念ながらゲストの中には、結婚式での対応に不満を抱く方もいらっしゃいます。結婚式での不満は、今後の人間関係に響く可能性が高いので、気をつけたいものです。
ゲストをがっかりさせないためにも、注意したいポイントを把握しておきましょう。ここでは、結婚式でゲストが不満に感じやすい点をご紹介します。
お礼・お車代がない
ここでいうお礼とは、受付や余興を引き受けてくれたゲストへのお礼のこと。準備期間や当日、挙式後にお礼がないのは失礼にあたります。例えば、時間とお金をかけてレンタルスペースで余興の練習を重ねたのに、当日のお礼の言葉だけではゲストは拍子抜けするかもしれません。
お車代に関しても同じことがいえます。お車代とは、ゲストの交通費を負担するためのもの。遠方ゲストがいる場合は「お車代」をお渡ししましょう。相場は、交通費の半額~全額負担するのが一般的です。
親戚間では、暗黙のルールが存在することもあります。例えば、お互いの結婚式が遠方であれば「交通費はお互いさまなので、全額自己負担」というようなケースも存在します。
お礼やお車代は、相手への感謝のしるしです。ゲストは見返りを求めるているわけではありませんが、せめて負担をかけた分は、何かしらの形でお返ししましょう。
ムービーや写真に写ってない
式場に飾る写真や、ムービーに使用する写真は、できるだけゲストが写っているものを選びましょう。せっかく結婚式に参列したのに、自分が写っていないと、ゲストは寂しくなるものです。
ゲスト数が多い結婚式では、全員との写真は難しいかもしれません。その場合は、集合写真としてでも写っているものを選ぶといいでしょう。
新郎新婦とまともに会話する時間がなかった
披露宴の内容によっては、新郎新婦とゲストがまともに会話する時間がないことが見受けられます。実際に、「新郎新婦と言葉を交わしたのは、お見送りの瞬間だけ……」というような結婚式を経験した方もいらっしゃるのではないでしょうか?
少しでも会話する時間がないと、ゲストは式にマイナスの印象を持つかもしれません。披露宴では、せっかく参列してくれたゲストに、せめてお礼を伝える時間は確保したいものです。
ゲストとの時間が持てない披露宴になってしまう要因として、
・ゲストが多すぎる
・演出が多すぎる
ことが考えられます。
「ゲスト数が多ければ、演出は控えめにする」、「少人数であれば、ゲストとの交流ができる演出を取り入れる」など、ゲストとの時間を意識しましょう。
最後に
人生の節目となる結婚式は、もてなす側の人間性が問われる場でもあります。予算の問題もありますが、親子で「ゲストに満足していただける披露宴」を目指しましょう。
監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/
構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
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