写真・文/佐竹敦
厳冬期に滝が凍結して氷柱となったものを『氷瀑』といいます。その幻想的な美しさはまさに大自然が生んだ芸術作品ともいうべきものですが、本来は山深いところにある滝に雪深い厳冬期にわざわざ訪ねていくのは並大抵のことではなく、困難を極めることは言うまでもありません。
しかしながら、氷瀑の中には比較的簡単に訪ねることができるものもありますので、入門編としてこの冬に訪ねたい氷瀑を厳選して紹介したいと思います。
■1:袋田の滝(茨城県大子町)
那智の滝、華厳滝と並んで日本三大名瀑の一つとして名高い袋田の滝。滝の流れが大岩壁を四段に落下することから、別名「四度(よど)の滝」とも呼ばれ、かの西行法師が「この滝は四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣は味わえない」と絶賛したとも伝えられています。
落差120メートル、幅73メートルの大瀑布が厳冬期に全面凍結して氷瀑となった姿は必見です。
【袋田の滝】
■所在地:茨城県大子町袋田
■2:月待の滝(茨城県大子町)
月待の滝は袋田の滝と同じ大子町にある滝です。落差117メートル、幅12メートルと、袋田の滝と比べるとはるかに規模の小さい滝ですが、滝の裏側に入ることもできる非常に珍しい裏見の滝です。
袋田の滝と違って滝が凍った様子をすぐ近くから観察することができますので、袋田の滝を訪ねた際にはぜひあわせて訪ねてみることをお薦めします。
【月待の滝】
所在地:茨城県大子町川山
■3:古閑の滝(熊本県阿蘇市)
古閑の滝は落差100メートルの女滝と落差80メートルの男滝の2本の滝が一望できる贅沢な滝ですが、年間を通じて常時水量に恵まれていない滝であるため、まとまった雨が降った後などを除けば、滝というには迫力不足な姿しか見ることができません。
しかしながら、水量が少ないために真冬になると滝の水が阿蘇谷より吹き付ける冷たい北風を受けて凍結し、見事な氷瀑となることで有名です。
【古閑の滝】
所在地:熊本県阿蘇市一の宮町坂梨
以上、比較的手軽に訪ねていける、おすすめ氷瀑スポットを3つ紹介しました。
今回紹介した滝は、お手軽に行けるかわりに、冬の間であればいつでも氷瀑が見られるというわけではありませんので、訪ねる際には事前に観光情報等を確認してから訪ねるのをお勧めします。
写真・文/佐竹敦
日本全国の即身仏・一之宮・五重塔・三重塔・滝百選・棚田百選・国分寺跡をすべて訪ね歩いた一人旅の達人。テレビチャンピオン滝通選手権出場。主な著書に「この滝がすごい!」「日本の滝めぐり」等。テレビ東京の「厳選!いい宿ナビ」のコラム執筆、@nifty温泉の記事執筆等、ライターとしても各メディアで活躍中。