トルコと聞いてまず頭に思い浮かぶのは、ヨーロッパとアジアの架け橋であるイスタンブールではないだろうか。たしかにそこは、文明の十字路。旅行先として人気が集まるのも当然だ。

しかし、さらにワンランク上の旅をしたいのであれば、注目したいのがその南西。すなわち、ギリシャとの間に広がるエーゲ海である。

古代ギリシャ文明は「ヨーロッパ文明のゆりかご」と呼ばれるが、その痕跡は、エーゲ海に面した現在のトルコ沿岸にも多数残されている。考古学者のハインリヒ・シュリーマンが発掘した彼の地は、トルコ・エーゲ海沿岸の重要なスポットだといえるのだ。

いわばトルコは、古代ギリシャや古代ローマに直接通じる重要な場所なのである。そこで今回は、トルコを旅するならぜひ訪れたい3つのスポットについて、ワールド航空サービスの南欧・トルコ担当、中屋さんのコメントも交えつつ、ご紹介していこう。

■1:アンタルヤ~アスペンドス

アンタルヤ

地中海に面したアンタルヤは、紀元前3〜2世紀にかけてエーゲ海沿岸地方から内陸部を治めたペルガモン王国の国王によって築かれたといわれる。そしてそののち、ローマ、ビザンチン、セルジュク朝と、時代ごとにその主を変えてきた。

街のシンボルは、13世紀のセルジュク時代に旧市街地に建設されたミナレット(尖塔)。また、当初は教会として建てられたものが、それぞれの時代に改築されながら、オスマン帝国を経て現在へと受け継がれてきた「ブロークンミナレット」もある。

加えてアンタルヤ周辺は、風光明媚なリゾート地としても有名。「トルコのリビエラ」といわれ、高級リゾートが立ち並んでいる。また国際空港があるため、トルコ国内のみならずヨーロッパのさまざまな地域から旅行者が訪れることも特徴のひとつ。リゾートでありながら観光も楽しめる、非常に魅力的な街なのだ。

アンタルヤを訪れるなら、近郊のアスペンドスにまで足を進めたい。なぜならここには、ローマ劇場がほぼ完全な状態で残されているからである。最前列から最後列までが現存し、最上階には当時のアーチ型の回廊も。1万5000人を収容できるというこの劇場は、いまも現役。コンサートなどで使用されているというから驚きだ。

アスペンドスのローマ劇場

「古代のローマ劇場はヨーロッパから北アフリカにかけて見られますが、アスペンドスの劇場のように保存状態よく残されているのは極めて希です。一時期要塞として使われていたこともあり、外からは中の様子が伺いしれませんが、中に入ると、その壮大さ、美しさにアッと驚いてしまうことでしょう」(ワールド航空サービス中屋さん)

■2:ボドルム

ボドルム城からのエーゲ海の眺め

エーゲ海に面したボドルムは、トルコ随一のリゾートとして知られる一方、古くからの交易の要衛としての側面も備えている。中世には十字軍の要塞都市として栄えたのである。

クルーザーやヨットが係留されているマリーナを見下ろせる丘の上には、聖ヨハネ騎士団が建てたボドルム城が立っている。その建材には、古代の世界七不思議のひとつに挙げられるマウソロス王の墓(紀元前4世紀の建造)の石材が使われたという。

旧市街地の路地には白壁の家々が連なり、奥へ奥へと誘われるように進めば、あたかもギリシャの街にいるかのような気分になれることだろう。

「マウソロス廟はもともと高さは42メートル、周囲は123メートルあったそうです。1402年に十字軍によって破壊され、現在はその土台だけを見ることができます。遺跡内には復元模型が展示されていますので、実際の土台と照らし合わせながら、世界の七不思議に選ばれた実物を想像してみてください」(ワールド航空サービス中屋さん)

■3:ロードス島

ロードス島

トルコの沖合に浮かぶロードス島はギリシャ領だが、エーゲ海沿岸のマルマリスと定期フェリーで結ばれている。そして、その港に隣接して伸びているのが旧市街だ。立派な城門をくぐると、視界いっぱいに中世そのままの世界が広がる。

この島は、十字軍で活躍した聖ヨハネ騎士団の拠点だった場所。オスマン帝国に敗れて島を明け渡すまでの200年間、彼らは重厚な街並みを築いた。城壁を筆頭とする当時の建築物は、いまも美しく残されている。

騎士団を構成していた各国の館や、騎士団長の宮殿が並ぶ騎士団(イポトン)通りを歩けば、素晴らしい時間旅行を楽しむことができるはずだ。

ロードス島

「ギリシャ本土よりトルコからのほうが近いロードス島。その地理的条件やオスマン帝国領になった歴史から、現在もモスクやトルコ式と名づけられた市場も見られます。歴史の詰まった街の散歩をのんびり楽しんでみてください」(ワールド航空サービス中屋さん)

*  *  *

以上、今回はトルコを旅するならぜひ訪ねたい、エーゲ海沿岸の街と島をご紹介した。きっと古代ギリシャ・ローマ・中世の世界へと誘ってくれる素敵な旅になるに違いない。

【ツアーについてのお問い合わせ】
ワールド航空サービス
http://www.wastours.jp

文/印南敦史

 

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