近年、人気旅行先の上位にランクインしている台湾だが、「何度も訪れている」という人でも、台北およびその近郊のみしか行ったことがない、というケースも多いのではないか。
台湾は1624年からオランダに統治されていたが、その中心は実は台北ではなく「台南」だった。その後、オランダから鄭成功が奪還した後は、台南の赤崁樓(せきかんろう)が政治の中心地となった。
そのため、台湾の政治・経済・文化が最初に栄えた場所として、現在でも台南には歴史を感じる文化財などが多く残っている。
そんな台南は、ガイドブックでも数ページしか掲載されないことがほとんどであるが、今回は歴史や文化を感じられるおすすめの見どころを以下に4つ紹介したい。
■1:様々な民族による統治の歴史が感じられる「赤崁樓」
赤崁樓は台南のランドマーク的存在である。1652年にオランダ人が建造し、オランダ人や外国人のことを「紅毛」と呼んでいたことから、「紅毛樓」とも言われる。
日本統治時代には病院としても使われていた。夜になるとライトアップされ、音楽会なども催されている。
※交通アクセス
台南駅から市内バス5番、あるいは台湾好行バス99台江線に乗車、「赤崁樓」で下車。
■2:台湾最古の「孔子廟」
台南の孔子廟は、台湾で最古の孔子廟であり、台湾最古の学校でもある。その意味を表す「全臺首學」の文字が門に掲げられている。
芝生や木など自然も多く、街の中のオアシス的な存在でもある。週末の15時半からは演奏会も行なわれている。また、近くの府中街という古い街並をあわせて散策するのもオススメである。
※交通アクセス
台南駅から市内バス17番、18番に乗車、「建興國中」で下車。
■3:屋上は必見!「林百貨」
2014年6月にリニューアルオープンした林百貨では、土産物やMIT(メイドイン台湾)商品などのショッピングが楽しめる。
元々は1932年に通称「銀座通り」と呼ばれていた台南一の目抜き通りであった場所に作られた南台湾初の百貨店であり、当時の台南で最も高く、そしてモダンな建物であった。
店内には当時の面影が多く残り、また屋上には開業間もない頃に作られた神社の跡や、太平洋戦争時の空襲の跡なども残り、見ることができるので、ショッピングに興味がなくともぜひ訪れてみてほしい。
※交通アクセス
台南駅から徒歩で15〜20分程度。
バスの場合は市内バス1番、7番に乗車、「林百貨(中正路)」下車。
■4:街歩きをしながら台湾のはじまりを感じられる「安平地区」
台南の中心地からは少し離れているため、バスやタクシーに乗って向かう安平地区は台湾史発祥の地である。
1661年にオランダの軍事拠点であるゼーランジャ城(現在の安平古堡)を鄭成功が制覇したことにより、オランダが統治していた台湾は漢民族の物となった。
その後、政治の中心は赤崁樓のあたりに移るが、製塩業や台湾南部の重要な貿易港として発展していった経緯もあり、安平古堡や昔ながらの建物や街並みが残る延平老街、航海の神様である媽祖が祀られている天后宮など、街歩きに最適な地区である。
※交通アクセス
台南駅から市内バス2番に乗車、バス停「郵局」下車。
あるいは台湾好行バス88安平線/99台江線に乗車、バス停「安平古堡」下車。
タクシーの場合は台南駅から150~200元程度。
■台南へのアクセス方法
最後に、台南の街へのアクセス方法を紹介しておこう。
台北から台南へは新幹線、鉄道、バスでのアクセスが可能である。新幹線を使えば1時間半ほど、バスや鉄道の場合は4時間ほどで到着する。
台湾では新幹線が「高鉄」、鉄道は「台鉄」と呼ばれる。「高鉄」の台南駅と「台鉄」の台南駅はかなり離れているため、「高鉄」で台南に行く場合には到着後、シャトルバスを使って市内に向かうか、「高鉄」台南駅のすぐそばにある沙崙(さろん)線に乗って、「台鉄」台南駅に向かうことになる。不安な方はタクシーで向かうのが安心だろう。
また、日本から台南のさらに南の高雄への飛行機もあるので、高雄から鉄道で台南に向かう方法もある。こちらは自強号という特急に乗れば30分ほどで到着する。
「高鉄」の台南駅と「台鉄」の台南駅には旅行者用のインフォメーションカウンターがあるので利用するといい。日本語の地図やパンフレットも置いてある。特に「台鉄」台南駅のインフォメーションコーナーには日本語のできるスタッフがいることもあるのでおすすめである。
文・写真/松永直