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イギリスのブレグジット問題|あるスコットランド女性の憂いとチャレンジ

文・写真/石橋貴子(海外書き人クラブ/スコットランド在住ライター)

イギリス政治の中心地ロンドン・ウェストミンスター

イギリス政治の中心地ロンドン・ウェストミンスター

今、イギリスが揺れている―。

2019年3月末にEU<欧州連合>からイギリスが離脱(ブレグジット)することが、2016年に実施された国民投票の結果により決定しているのだが、離脱する合意内容が離脱直前になっても決定せず、ゴタゴタが続いている。

イギリス連邦国の一部であるスコットランドに住む人たちの感情は複雑だ。なぜなら、先の国民投票において、スコットランド人の62%がブレグジットに反対したのだから。そんな先の見えない問題に揺れながらも、果敢に挑戦する、スコットランド女性の言葉をお伝えしたい。

ブレグジット問題|あるスコットランド女性の憂いとチャレンジ

“Can you imagine after BREXIT?(ブレグジット後のことをあなたは想像できる?)”

これは、筆者の知り合いであるスコットランド女性の言葉。ブレグジット後の世界を想像できないイギリス人が余りにも多い。この事に憂いを感じている彼女の言葉だ。

たとえばということで彼女が出したのが欧州に多くの拠点を持つ航空機会社エアバスの例。

“エアバスのオペレーションがイギリスで2分止まったとしたら、何が起こると思う?

エアバスは、イギリスを含む欧州各地で航空機の部品を生産し、フランスで部品を組み合わせて、生産をしている。もしイギリスで遅れが生じたら、その遅れがたった2分間であったとしても、欧州エアバスに大きな障害となる。もし合意なきブレグジットになったら、その恐れはまさに現実のものになる。実際にエアバスは、イギリスでの事業見直しの可能性について表明しているわ”

あらゆることがもの凄いスピードで、緊密に動く現代で、具体的にどうなるか想像してみることの大切さを、彼女は説く。

彼女のもう1つの憂い。それは、ブレグジットに関する国民投票が再び行われること。

“「国民投票をやり直して、EU残留すればいいじゃないか」と言う人がいるけれど、EU残留に決まる保証はない。もし仮にEU残留が再び拒絶されたら? イギリスは、今以上に手のつけられない、バラバラの状態になる”

 Language Hub設立者ミッシェル(左)とビジネスパートナーのアンドレア

Language Hub設立者ミッシェル(左)とビジネスパートナーのアンドレア

彼女の名前はミッシェル。スコットランド人の父とドイツ人の母の間に生まれ、ドイツで育ったバイリンガル。スコットランドで結婚し、その後2人の子供が誕生。受付の仕事をしながら、再び教師としてのトレーニングを始めようとした時に、自分が住むスコットランド・グラスゴーに、子供がバイリンガル教育を受ける場所がほとんどないことに気づき、そのギャップを埋めようと、語学を学ぶ拠点「Language Hub」を作った女性だ。

設立当初、英語とドイツ語のみの提供だったが、クラスが評判を呼ぶとともに規模を拡大。その後、スイス出身の女性アンドレア(ドイツ語、イタリア語、英語を話すことができる!)という強力なビジネスパートナーを手に入れ、現在Language Hubは、英語、フランス語、ゲーリック語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、アラビア語、ロシア語、日本語、中国語等、多言語のクラスを持つ。子供は歌いながら学び、大人はコーヒーを飲みながらリラックスして学ぶスタイルを取り、子供を預ける場所がない大人のために無料で預かるシステムも備えている。そして昨年末からはカフェ「Cafe Hub」をスタート。居心地の良い空間で飲み物、そして小さな子供にも安心安全な食べ物を提供している。

Cafe Hub

Language Hubのビジネス自体は順調だが、ブレグジットの影響を免れることはできないし、大きなリスクを含んでいる。スタッフ17名のうち、イギリスの永住権を持つのは、ミッシェル1人だけだ。

ミッシェルは言う。“スコットランドの労働力は、外国からの移民への依存度が非常に高い。ブレグジットが行われれば、国内が混乱し、移民がスコットランドから国外へ移る可能性は非常に高い。スコットランドは労働力が足らず、経済は大きな打撃を受けるだろう。”

“でも、泣いていても仕方ない。泣いて終わるか? それともチャレンジするか? 2択だ”

ブレグジットが予定される3月以降、ミッシェルはLanguage Hubに大きな計画を入れることができないでいる。なぜなら彼女のビジネスパートナーやスタッフが、今後どうなるか分からないからだ。それでも、彼女は言う。“2019年3月のブレグジット後にやってくる、チャレンジ、笑い、興奮、すべて受け止めてやる”

文・写真/石橋貴子(海外書き人クラブ/スコットランド在住ライター)
イギリス連邦国の一部である、スコットランドの最大都市グラスゴー在住。コピーライター・編集者としての25年以上の職歴と、ジャーナリスム専攻ならではの視点を活かし、日々アンテナを張り巡らせて、スコットランドの隠れた魅力をお伝えしている。海外書き人クラブ所属。

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