愛知県の三河地方は、我が国で最初に木綿の種が到来した土地だ。水はけのよい肥沃な土壌が栽培に適し、江戸の頃には有数の木綿織物の産地に成長。「三河縞」という柄物で一世を風靡し、庶民階級の着物文化を終始リードした。
同県蒲郡市にある明治38年(1905)創業の酒岩織布は、「小幅」と呼ばれる織り幅37cmの古い織機にこだわり続ける老舗の織物屋だ。
「小幅は、大きな織機で織る広幅より糸にかかる張力が優しいのです。織りの速度も遅いのですが、そのぶん、生地にぬくもりのある手触りが生まれます。染めたときの色艶にも微妙な違いが出てきます。とても落ち着いた感じに仕上がり、そこにおもしろさがあります」(社長夫人の酒井まり子さん)
本来は和服基準である小幅の木綿生地が、見るからに涼しげな紺色が印象的な、千筋のスタンドカラーシャツに仕立てられた。スタンドカラーシャツの別名は書生シャツ。古風で端正な襟元で、老若問わず人気が復活している男性用シャツである。
小幅の生地は洗い晒すほど柔らかくなり、風合いにも渋みが出てくる。
作務衣の中に着ても相性がよい。
商品名/三河木綿のスタンドカラーシャツ
メーカー名/酒岩織布
価 格(消費税8%込み)/18,144円