革財布を専門に作っている山藤は、東京の下町で明治32年(1899)に創業した。同社がある台東区元浅草あたりには、北に東に、古くから革製品を扱う大小の企業、店舗、工房が軒を連ねる。
長らく国内外の有名ブランドの製品を作ってきた町だが、近年はオリジナルの革製品作りが盛んだ。
山藤には、卓越した薄革財布の加工技術が伝承されてきた。熱したコテを使って強度を保ったまま革を折る「ネン押し」や、菊の花のように革を寄せて内側の角を仕上げる「菊寄せ」などは、その代表的な技術だ。
ここで紹介する札入れと小銭入れにも、これらの手仕事の技がふんだんに採用されている。
使われている牛革はイタリア製だ。東京の下町と同じように、古くから革製品作りが盛んなフィレンツェのサンタ・クローチェ地区に伝わるバケッタ製法の革。牛脂を加え、植物から採ったタンニンでなめす方法で、使い込むほどに脂がなじみ、少しずつ革の色がしっとり濃くなるのが特徴だ。
山藤は、その中から手なめし、手染色の革だけを使う。まさに、革製品作りの長い伝統を持つ東京とフィレンツェの職人技が共演した逸品である。
商品名/牛革製の極薄札入れ、小銭入れ
メーカー名/山藤
価 格(消費税8%込み)/7,128円~9,050円