柿の木は樹齢100年を超えると、稀に内部に美しい黒の紋様が現れる。これを黒柿と呼ぶ。現れる紋様はどれひとつとして同じものはない。長い年月を経て偶然に生まれる自然の賜物だ。
その存在は古来、珍重されてきた。正倉院御物に黒柿を用いた厨子や文庫などがあることからも、いかに古くから貴ばれてきたかがうかがえる。
そんな貴重な黒柿を念珠ブレスレットに仕立てるのは、島根県出雲市に店を構える創業60年以上の老舗工房「おかや木芸」。全国から希少な黒柿の原木を仕入れ、木が寝ている冬の間に製材し、5年程度寝かせて乾燥させた後、ようやく加工へと入る。紋様は切るまでわからない。乾燥中に割れることもあり、とにかく時間も手間もかかる作業を続けて仕上げる。
おかや木芸の岡 順子氏は語る。
「高齢化もあって山を守る人が少なくなり、黒柿の入手は年々難しくなっています。それでも黒柿の魅力は素晴らしく、工房と木工職人の仕事を伝えたい、という思いから、私どもは黒柿を使い続けています」
邪気を払う力があるといわれる念珠。幻の銘木に想いを馳せつつ、手もとを飾るお守りアクセサリーとして、身につけてはいかがだろうか。
【今日の逸品】
黒柿の念珠ブレスレット
おかや木芸
6,480円(消費税8%込み)