■猫のペースにあわせてゆっくりと
だから、先住猫が新入りを嫉妬心からイジメる、ということはありません。
もし先住猫が新入りをいじめたとしたら、それは単なる猫同士の力関係や性格、相性の問題であり、飼い主さんを巡る嫉妬心によるものではないということです。
逆に先住猫が怯えてしまったとしても、それも猫同士の問題です。
相性や力関係のことは猫同士にしかわかりませんが、猫が寂しいという思いをしないように飼い主さんにできることは、新入り猫がきても、今までと同じように、あるいは今まで以上にたっぷりかわいがって、たくさん遊んであげることです。
愛情をいっぱいあげて、安心させてあげて下さい。
猫同士のことばかりではありません。保健所やボランティア団体などから猫を譲り受けたい、野良猫を保護して家族として迎え入れたい、だけどなついてくれるか心配、という人もいるでしょう。
そんな時にもやはり、猫の学習能力を応用すると良いかと思います。
最初のうちは驚かせないように気を配り、抱っこしたり撫でたりといったことを無理強いせず、撫でるときも体中ではなく頭から首までの間の部分をちょこっとなでる程度にとどめておきましょう。
緊張がほぐれてきたらおやつをあげたり、おもちゃで遊んだりして、この人と一緒にいても大丈夫、むしろ楽しい、おいしいものがもらえる!と思ってもらうようにするのです。
野良出身であっても、普通に生まれ育った猫であれば、もともと野生動物ではなく、人と共に暮らすDomestic animal(家畜)ですから、人間には慣れやすい素質は持っているはず。
焦ってはいけません。それぞれの猫さんのペースで、様子を見ながら仲良し作戦を進めて見て下さい。
指導/入交眞巳(いりまじり・まみ)
日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)卒業後、米国に学び、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。日本ではただひとり、アメリカ獣医行動学専門医の資格を持つ。北里大学獣医学部講師を経て、現在は日本獣医生命科学大学獣医学部で講師を勤める傍ら、同動物医療センターの行動診療科で診察をしている。
■わさびちゃんファミリー(わさびちゃんち)
カラスに襲われて瀕死の子猫「わさびちゃん」を救助した北海道在住の若い夫妻。ふたりの献身的な介護と深い愛情で次第に元気になっていったわさびちゃんの姿は、ネット界で話題に。その後、突然その短い生涯を終えた子猫わさびちゃんの感動の実話をつづった『ありがとう!わさびちゃん』(小学館刊)と、わさびちゃん亡き後、夫妻が保護した子猫の「一味ちゃん」の物語『わさびちゃんちの一味ちゃん』(小学館刊)は、日本中の愛猫家の心を震わせ、これまでにも多くの不幸な猫の保護活動に大きく貢献している。
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