学生時代に習ったはずの簡単な単語なのに、いざ使おうとすると「えっ、こんな意味だったっけ?」と戸惑ったことはありませんか?
今回は、そんな「知っているつもり」になりがちな、意外な意味をもつ動詞についてご紹介します。
今回のフレーズは、“meet a deadline” です。

目次
“meet a deadlineの意味は?
いろんな意味合いがある “meet”
“We meet in space.”
最後に
“meet a deadlineの意味は?
“meet a deadline” を直訳すると、
“meet” は(会う)、“deadline” は(締め切り)ですが……、そこから転じて、
正解は……
「締め切りに間に合う、期限を守る」という意味になります。
“meet” には「会う」だけでなく、「条件や要求を満たす」といった意味あいがあり、何かを「達成する」や「守る」というニュアンスで用いられることがあります。
『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)には、「締め切りに間に合わせる」と書かれています。
例えば、
1. “He worked late to meet the deadline.”
(締め切りに間に合わせるために彼は遅くまで働いてました。)
2. “Can you meet the deadline if we start today?”
(今日始めたら締め切りに間に合いますか?)
などと使うことができます。

条件を満たす“meet”
“meet a deadline(締め切りを守る)” という言い方に見られるように、動詞 “meet” には、「条件や基準、要求を満たす」という意味があります。
“meet” のあとには、たいてい何らかの条件や期待が続きます。 そして多くの場合、“meet” は「自分から目標に向かって進む」というよりも、「だれかが求めているレベルにちゃんと達している」という、少し受け身のような使い方をします。
このため、“meet” はやわらかく丁寧な印象があり、ビジネスやふだんの会話でもよく使われます。以下に、よく使われる例を3つご紹介しましょう。
1. meet the requirements(要件を満たす)
You must meet the requirements to apply for this job.
(この仕事に応募するには、決められた条件を満たす必要があります。)
2. meet the standards(基準を満たす)
This product meets international safety standards.
(この製品は国際的な安全基準をクリアしています。)
3. meet expectations(期待に応える)
The results did not meet our expectations.
(結果は、私たちの期待に届きませんでした。)
このように、“meet” は「基準」「条件」「期待」などを満たしていることをやわらかく伝えるときに、とても役立つ表現です。
“We meet in space.”
70年代の中頃、冷戦のさなかに、アメリカとソ連(当時)の宇宙飛行士たちが、歴史的な「出会い」を果たしたことがありました。Apollo–Soyuz Test Project(アポロ・ソユーズテスト計画)です。
アメリカの宇宙船「アポロ」と、ソ連の「ソユーズ」が宇宙でドッキングし、両国の乗組員が宇宙で握手を交わしました。
もともとこのミッションは、異なるシステムの宇宙船がドック(接合)できるかどうかのテストだったそうですが、注目を集めたのは、国境を越えた宇宙飛行士同士の交流でした。言語や文化が異なる宇宙飛行士たちが、共に働きながら友情をはぐくむ様子がメディアを通して伝えられました。
アメリカ側のスタッフォード飛行士は、強いオクラホマ訛りのロシア語を話していたため、ソ連のレオーノフ飛行士はユーモアを込めて、「この船では三つの言葉が話されている。ロシア語、英語、そしてオクラホマスキーだ」と語ったというエピソードがあります。ミッションを終えた後も、彼らの友情は途切れることなく、生涯にわたって交流が続いたそうです。
1975年7月17日、世界中が見守る中でドッキングは成功。この「宇宙での出会い」は、その後の国際宇宙協力へとつながる大きな一歩となりました。

最後に
当時、米ソ間には緊張緩和のうごきがあり、莫大な費用がかかる宇宙開発を国際協力で進めるべきだという世論の後押しもあって、このプロジェクトは実現しました。とはいえ、冷戦下での米ソの協力は異例中の異例。その影響は大きく、後の国際宇宙ステーション(ISS)へとつながる流れを生み出しました。
“meet” には、「会う」「満たす」「交わる」、そして“meet the challenge”(挑戦に立ち向かう)という表現もあります。私たちはこの先どんな人や出来事と「meet」していくのか、想像もつかないからこそ、希望があるのかもしれません。
次回もお楽しみに。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
