離婚することは母親を突き放すことと一緒
何十人という人と会い、その中から23歳の時に13歳上の男性と結婚。結婚が決まったと同時に仕事も退職して、晴れて母親が望む結婚生活をスタートさせます。しかし、その生活が順調だったのは最初だけだったとか。
「夫に決めたポイントは、お付き合いの居心地が良かったから。引っ張ってほしいところは率先して決めてくれるけど、私の話を対等に聞いてくれる人だったんです。そんなに口が立つ人ではなかった分、聞き上手というか。夫には私の考えをすべて伝えても受け入れてくれるという安心感を初めてもらいました。でも、それは結婚前までの話。同居してからは少しでも夫のスケジュールに沿わない事柄があると怒るわけではなく、鼻で笑う感じで『バカだもんね』みたいなことを言ってくる。モラハラと言うんですかね。それが続くと、怒られているわけじゃないのにビクビクしちゃって、何も言えなくなってしまって……」
そして、いつしか美穂さんの心の中に『離婚』という文字がチラついていきますが……。
「夫と別れたい。でも、それは母親を裏切ることになる。母のトラウマを思い出させる行為が”離婚”ですから。1番怖いのは夫のモラハラよりも、母親がいなくなること。母親に目を背けられたら、私は完全な一人ぼっちになってしまいます。夫との関係は会話を避けるようになって完全に崩壊しています。でも夫は世間体を気にする人なので、私たち夫婦は今別々の理由で離婚を回避している状態ですね」
最後に、母親への依存について気付いているのかを聞いたところ、「そうですね。気付いてはいるけど、認めたくはない感じですね」と苦笑いを浮かべながら語りました。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。