写真・文/柳澤史樹

なんだかこのまま梅雨が空けてしまうのではないかと思わせる暑い日々が続きますが、みなさんお元気でしょうか。

ちょっと間が空いてしまいましたが、私たちが自然農を教わっている神奈川県相模湖の『おだやか家』(http://odayakaya.com/)で、6月からついにコメ作りにチャレンジすることになりました。

これまで畑のみだったわけですが、やはり日本人にとってコメは特別な存在。そして私にとっても初めての経験です。

■種もみから田んぼつくりまで。昔のお百姓さんは凄すぎる

地元の農家さんから分けていただいた種もみを発芽させるところから、コメ作りはスタートしました。

苗つくり専用のパレットを水で湿らせて準備し、付属の蓋に種もみを均等に蒔いたあと、それをスライドすると、一気に種もみが下に落ちて綺麗に並びます。その種もみはすぐに発芽するのですが、それを何日か水をあげながら育て、田植えの日を待ちます。

この苗作りパレットには驚かされました。綺麗に苗を育てるのに実に便利な道具ですが、こういうものがない昔の人はどうしていたんだろう?

種もみを植えたパレットを見ながら思わず笑みが

種もみはすぐに発芽

そしてその苗を育てつつ、別の日には地主の方が貸してくれた畑を田んぼにするという作業がありました。

もともと畑だったところを田んぼにするためには、水が漏れないように壁を作る作業と、用水路から水を引いて土を撹拌する「代掻き(しろかき)」という作業が必要なんだそうです。

おだやか家の島崎さんの指示を受けながら、畦に塩ビの波板を張っていきます。

これも昔は「畦塗り(あぜぬり)」といって、壁土状にした土を塗っていったそうですが、今回は塩ビ板を使用。これ、昔の人は大変だったろうなあ…

塩ビの波板を畦に押さえていきます

それが完了したら、いよいよ水入れ。水が入ってだんだんと田んぼが畑になっていくのを見ながら、なんだかとてもワクワクした気分になります。

その後シャベルで土地の高さを均しながら、機械を使って泥を撹拌させ、ようやく田んぼができあがったときは感動しました。しかしこの日は結構キツかった…

半分水が入った田んぼの代掻き

そしてこの数日後、仲間たちが大集合していよいよ「田植え」の日を迎えたのです!

■ああ、田んぼだ…感動がこみ上げる瞬間

この日は朝のうち結構雨が降っていたのですが、そのうち小雨に。

島崎さんの指示を受けながら、竹の棒を畑の両端に40センチ間隔に立て、その間に横紐を渡して一列に並び、育った苗をパレットからほぐして植えていきます。

こんなに大きくなった苗

みんなが約2メートルくらいの感覚に並び、その間に3~4本の苗を20センチ間隔で土に植え付けます。

全員が持ち場に苗を植え終わったら、全員で声を掛け合い、後ろの竹に移りまた横紐を渡し、次の苗を植え付ける、という作業はとても楽しいもの。

この作業を日本人は千年以上も昔から家族や村でやってきたんだなあとしみじみ考えたりしながら、人生初の田植えを楽しみました。

そしてついに全部の苗を植えることに成功! みんなから、満面の笑みと拍手が自然と湧き上がりました。

集まったみんなの満面の笑みをご覧ください。

みんなの笑顔

しかし田んぼはそこからが大変です。

この日以来毎日早朝5時には地主さんとおだやか家のお二人が、水の具合を確認しに行っており、今後はこれに私らも参加していく予定です。

まあ、連日の暑さからすれば、灼熱の日中よりも早朝から午前中くらいの作業時間を設定したほうが、カラダの負担が少ないのでいい、と思うようにします。

ちなみに私の義父も、新潟の佐渡ヶ島でご先祖の土地を引き継ぎ、今もコメを育てているのですが、家には水路の当番表が貼ってあり、夏休みに遊びに行ったときも朝から晩まで田んぼの作業に追われているのを思い出しました。

農具がどんどん発達してきた現代でさえそうなのですから、とにもかくにも先人たちのご苦労に、尊敬の念を感じます。

庭のプランターになったミニトマト

最後に余談ではありますが、畑も庭も絶好調で進行中。

この約1か月間のあいだに、麦の脱穀、ダイズ、トマトとナスの植え付けなどにも参加。この連載の6回目でご紹介した、種から育てたミニトマトもついに実り始めました。

毎日やることは山ほどあるのですが、食べものを自分らで作るってそういうことなんだな、という当たり前のことを実感できることがとても価値のあるものだ、と感じる毎日を送っています。

写真・文/柳澤史樹
フリーライター/ 自分史アドバイザー。歴史を楽しむ情報サイトや企業ファンサイトのマネージメント、ビジネスコンセプトやコピーの執筆、多数の著名人取材などの他、現在は一般社団法人 自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザーとして、個人の軌跡を残す「自分史」を活動の軸とする。2016年暮れ、地元横浜から相模原市緑区へ引越し、農的暮らしと執筆生活の両立へシフトチェンジ中。

【お知らせ】現在おだやか家では、希望者の方に対して「野良しごとの日」を設定。おおよそ10〜16時、お昼を畑で食べながら野良仕事を体験してもらうというプログラムです。人数は1日1〜4名、日程はお問い合わせをいただいた方と調整のうえ決定し、参加費はドネーション(寄付)制です。詳しくは下記をご覧ください。
↓↓↓
http://odayakaya.com/blog/1706norashigotonohi

 

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