写真・文/柳澤史樹
気がつけばすでに4月。いよいよ春も本番ですが、先日初めて『サライ.jp』の記事を見た方からのお申込みがあったと、「おだやか家」女将のはるさんからお礼を言われました。この連載を始めて一番嬉しいお知らせ。本当にありがとうございます!
さて、この連載が始まってから「おだやか家」でのクラスレポートが続きましたが、あくまでも本連載のテーマは私の田舎暮らし体験なので、今回は自分でも何か手作りしてみようと考えました。
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醤油、味噌、ぬか漬けときたら、やはり次は納豆か豆腐でしょう。実は私、子供の頃豆腐屋になりたかったんです。
小さな商店街の豆腐屋に買い物に行ったとき、あの清潔感や揚げたてのがんもどきや厚揚げの匂い、大きな桶から豆腐をパックに入れて紙をペロンと載せる動作が大好きだったんですよね。
そこで在来種の大豆を扱う北海道のべにや長谷川商店の「手作り豆腐キット」を取り寄せました。
このキットは、大豆、にがり、型箱、漉し袋と型布が入っており、開けてすぐに手作り豆腐が作れて、とても便利。さあ、これで子供の頃の夢にチャレンジです!
■絞りたての豆乳のうまさにまず感激
前日の昼から300グラムの豆を3倍の水で浸して準備完了、いよいよ念願の豆腐つくりにチャレンジです。
まずは大豆をミキサーで水と一緒によくすりつぶします。もちろんすり鉢を使ってもOKですが、粒を残さずにつぶすのが大変なので、できればジューサーがオススメ。
つぶし終わったら、沸かしたお湯に混ぜ入れ、焦げないように木ヘラで煮ます。このあいだ、大豆の色が牛乳のように真っ白になることにびっくり。大豆って本当に凄いな。
さて、十分煮立てたら、熱々の豆汁を漉し袋に流し入れ、袋を締めながら絞ります。
これが豆乳です。あ、もちろん漉し袋の下にボールを置いておくのを忘れずに!
この工程が一番たいへんでした。木ヘラだけでは絞りきれず、途中から手でギューギューとやったのですが、とにかく熱い! くれぐれも火傷しないように気をつけてくださいね。
ようやく絞り終わって、残りの袋には立派な「おから」が残りました。絞った豆乳をちょっと舐めてみたら、その甘さにまたビックリ。これは期待できそうです。
■にがりを入れたとたん、豆腐になりはじめる不思議
さて、絞り終わった豆乳をさっきの鍋に戻し、5分ほど煮たのち、80℃くらいまで冷まします。そこに「にがり」を混ぜ入れ、しばらく放置すると、水と豆腐が分離してきます。
工程もいよいよ佳境。写真のようにおたまで上澄みをこまめにすくって取っていきます。この汁もすごく甘くて栄養満点。できれば全部飲んでください。
上澄みが取れたら、布をセットした型箱に豆腐をすくって入れ、重しを乗せて20分ほど待ちます。この間、型箱の穴からも水分がどんどん出るので、お皿をひいてくださいね。
さあ、後は待つだけです。
■できあがり!味見した妻は思わず涙を流した
さて、いよいよできあがり! 布に入った豆腐を水中にあけて、布を剥がす緊張の瞬間です。
おおー豆腐だ!! ちょっとボコボコしてますが、もう少し柔らかい状態で箱に入れれば、もっと綺麗にできそう。これは次回の課題ですね。
とにもかくにもまずは一口、と妻に食べさせた途端、
「な、泣いてる!」
顔をクシャクシャにして感動する彼女を横目に私も一口。
「なにこれ! う、美味すぎる!!」
市販の豆腐とは全然違う、舌触りとしっかりとしたボリューム、なんとも言えない甘みとコク。もう言葉では表現できません。間違いなく、生まれてから一番美味しい豆腐でした。
作りたてがこんなにも美味しいなんて、自家製以上のものはないと断言できます。忙しければ豆乳を買ってくればできるし、もしこれが自分らの育てた大豆だったらどれだけ美味しいんだろう。
それにしても、大豆からこんなものを編み出した昔の人はつくづく凄い。ガンモや厚揚げは、さらにこれを揚げるんですから、超高級品なんだな、と思いました。
ちなみに残ったおからは翌日、これまた最高においしい「おからコロッケ」に。大豆はすべて、美味しく私らのお腹に収まりました。
こうして初回から大成功の自家製豆腐つくり。今年の冬、「おだやか大豆」の湯豆腐が今から楽しみです。
豆腐好きな方なら絶対満足、ぜひ自家製豆腐づくりへのチャレンジをオススメします!
【べにや長谷川商店】
■所在地:北海道紋別郡遠軽町寿町2-14
■電話: 0158-46-3670
■ウェブサイト:http://www5c.biglobe.ne.jp/~kiyomi65/index2.htm
写真・文/柳澤史樹
フリーライター/ 自分史アドバイザー。歴史を楽しむ情報サイトや企業ファンサイトのマネージメント、ビジネスコンセプトやコピーの執筆、多数の著名人取材などの他、現在は一般社団法人 自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザーとして、個人の軌跡を残す「自分史」を活動の軸とする。2016年暮れ、地元横浜から相模原市緑区へ引越し、農的暮らしと執筆生活の両立へシフトチェンジ中。