金融機関で住宅ローンを組むときに、金融機関の仮審査を経て、最終的にどのくらい借りることがきるのかは本審査で決まります。(【住宅ローンの手続きの流れとは https://serai.jp/living/1137271】参照)
その本審査で自分が借りることができる金額、つまり「借入可能額」はどのような基準で決まってくるのでしょうか? 仮審査から本審査、金銭消費賃貸契約(金消契約)までスムーズに進めていくために、今回は、借入可能額の決まり方を一緒に見ていきたいと思います。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
住宅ローンの借入可能額はどのように決まる?
夫婦の年収を合わせた場合、借入可能額は増える?
借入可能額が少ない場合の対処法
まとめ
住宅ローンの借入可能額はどのように決まる?
住宅ローンを借りるためには、各金融機関で審査を通さなければなりません。まずは仮審査、そしてその後に本審査という流れになります。仮審査に通ったからといって、本審査で同額の借入ができるというわけではありません。本審査では仮審査よりも提出する書類が多く、それをもとに各金融機関で住宅ローンの「借入可能額」の審査をしていくことになります。
実際のところ、仮審査も本審査も各金融機関の独自の基準が設定されていますので、明言はできません。しかし、提出する書類を通じて、影響を受けやすい4つの判断要素を見ていきます。
1.年収
年収は申込者の返済能力を重要視するため、大きな判断要素になります。給与所得者であれば、源泉徴収票と住民税決定通知書、もしくは課税証明書。確定申告をしている人は、確定申告書のコピーや納税証明書。会社役員の方は、源泉徴収票と住民税決定通知書。もしくは課税証明書と決算書を提出します。
年収によって、借入可能額の目安は各金融機関のサイトでシミュレーションできますので、参考にしてみると良いでしょう。【住宅ローンを組むときの年収の目安とは? https://serai.jp/living/1141306 を参照】
2.他の借入金の状況
住宅ローンの借入可能額は、年収をベースに「返済負担率」を割り出して審査をします。「返済負担率」とは、年収に占めるローン返済額の割合のことですが、マイカーローンやカードローンなどがある場合は、それも含めて計算されます。当然、返済負担率は少ない方が、審査は通りやすくなると言われています。可能な限り返済負担率を抑えておくと良いでしょう。
【返済負担率(%)の求め方】年間返済額÷年収×100
3.年齢
一般的に、各金融機関で借入時と完済時期の年齢が定められています。金融機関によって異なりますが、借入時は18歳から70歳の誕生日まで、完済時期は80歳の誕生日までとなっていることが多いです。これを例にすると、年齢が上がるほど借入期間が短くなります。借入期間が短ければ短いほど返済額が上がり、返済負担率が高くなるので、結果として借入可能額が低くなる傾向があります。
4.購入物件の価値
購入物件の売買契約書など、住宅に関する書類も提出を求められ審査基準の1つとなります。金融機関はただ単にお金を貸すのではなく、購入する物件を担保にして融資を実行するわけです。購入する物件の価値が高ければ、担保の評価も高くなります。ただ、物件の評価が高かったとしても、上記の年収や年齢など総合的な視点で審査をしていきます。
夫婦の年収を合わせた場合、借入可能額は増える?
共働き夫婦が住宅購入を検討している場合、いくつかの選択肢があります。そのうちの1つとして、「収入合算型」という方法があります。夫婦どちらかの年収だけで住宅ローンを組む「単独型」ではなく、夫婦2人の年収をベースに住宅ローンを組むことで、借入可能額を引き上げたいときなどに選択肢の1つとして「収入合算型」の住宅ローンがあります。
1人で住宅ローンを組む時と比べると、借入できる金額を増やすことができるのがメリットになります。この「収入合算型」を選択するときの条件もあり、それは各金融機関で異なってきますので、事前に確認をしておくと良いでしょう。
例えば、合算対象者も条件があります。誰でも合算者になれるわけではなく、基本的には「同居する配偶者または親子であること」などと明記されていることがあります。また、収入合算できる金額についても違いがあり、本人もしくは合算者の年収の一部なのか全部なのか、その組み合わせも各金融機関で異なってきます。借入可能額に大きく影響してくるところですので、事前に確認をしておくと良いでしょう。
注意点もいくつかあります。「収入合算型」の住宅ローンは、「連帯債務型」と「連帯保証型」の2つのタイプがあります。連帯債務型はどちらかが「主たる債務者」となり、もう一方が「連帯債務者」になり、どちらも債務者のため、金融機関への返済が必要になります。
一方で、連帯保証型はどちらかが「債務者」になり、もう一方が「連帯保証人」となり、金融機関への返済は債務者が行い、債務者が返済できなくなった場合、連帯保証人に返済を求められることになります。
また、「連帯債務型」と「連帯保証型」とでは、住宅ローン減税や団体信用生命保険などの点でも、下図のように異なってきますので、理解したうえで検討しましょう。一般的に、どちらか一方が仕事を辞めるなどして、収入の減少の可能性がある場合などは、収入に対する返済負担額が大きくなるので、慎重に検討をすると良いでしょう。
借入可能額が少ない場合の対処法
希望する金額の借入が難しい場合は、何ができるのかを考えてみましょう。1つは、「頭金と借入金額の見直し」をしてみると良いでしょう。今後のライフプランに影響しない範囲で頭金の割合を増やすことにより、借入金額を調整することができます。2つ目は、両親や祖父母からの贈与を受けることができるのであれば、有難く受けることも選択肢の1つです。
3つ目は、上記の収入合算型を選択することです。配偶者に限らず、一般的には同居をしている両親とでも可能ですので検討材料の1つとなります。ただし、前述のとおり、「連帯債務型」と「連帯保証型」の違いを理解すること、今後の両方の収入の推移などをしっかりと考えた上で決めていく必要があります。
4つ目は、「ペアローン」の選択肢です。収入合算と異なる点としては夫婦であればそれぞれで住宅ローンの契約をすることになります。よって、住宅ローンの契約本数としては2本になるため、手数料や印紙代など、「収入合算」の倍かかることになります。一方で住宅ローン減税はそれぞれが活用でき、団体信用生命保険もそれぞれが加入することになります。
どちらかに万が一の時があった時(死亡・高度障害時)は、住宅ローンは完済されますが、残された方の住宅ローンはそのまま残ります。ペアローンを選択した後は、加入している保険の見直しもすると良いでしょう。
まとめ
今回は、借入可能額の基準と希望の借入額を実現する方法についてお伝えしました。借入可能額は、あくまでも借りることができる金額であり、返すことができる金額ではありません。住宅ローンの返済に追われて、その他が思い通りにならなくなっては元も子もありません。
住宅ローンを組む前にしっかりとライフプランを作成して、収入や住宅購入後の積立額の推移を把握して自分に合った住宅ローンを選択してください。また、住宅ローンを組んだ後は保険の見直しも忘れずに行ってください。
資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行われています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか?
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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