あなたの会社では、「確定拠出年金」が導入されていますか?

いまや企業の退職金制度の主流となりつつある確定拠出年金。会社が毎月の給与に上乗せして拠出してくれている積立金をしっかり運用して、将来受け取る退職金を育てます。ところが統計によると掛け金のうちなんと約6割は預貯金や保険においていて、資産運用されていないということです。低金利な商品にお金を眠らせたままで、老後に十分な資金を用意することはできるのでしょうか?

また一方で、最近よく目にするiDeCo(イデコ)も確定拠出年金のひとつです。こちらは企業の確定拠出年金にくらべると利用残高はまだまだ少ないですが、掛け金の預け先を見るとしっかり投資信託を使われている場合が多いようです。

皆さんはいかがでしょうか? 取り扱われている商品から、どうやって自分に合ったものを選べばよいのか。自分は投資のことはよくわからないからといってそのまま放置したりしていませんか?

定年退職後の生活を支える、退職金をしっかりと育てていくための「確定拠出年金」。節税メリットもある制度ですから、その内容を学び、お金にもしっかり働いてもらって将来の資金作りに活用しましょう。

目次
確定拠出年金とは?
日本の年金制度のオサライ
「確定拠出年金」理解しておきたい種類とデメリット
まとめ

確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、拠出された掛け金とその運用収益との合計額をもとに、将来の給付額が決定する年金制度です。

日本の年金制度のオサライ

そもそも我が国の年金制度はどのようになっているのか、まずはそこから復習しましょう。日本の年金制度は大きく「公的年金」と「私的年金」に分かれます。下記でそれぞれ詳しく説明していきます。

「公的年金」「私的年金」とは?

まずは「公的年金」と「私的年金」を理解しましょう。

「公的年金」は、国が国民に対して用意する年金制度。日本は「国民皆年金」の実現により20歳以上60歳未満のすべての居住者が年金制度の加入対象となっていて、原則65歳以上になると年金を受給することができます。ただし自営業者か会社員かにより加入する年金の種類が異なってきますので、ご自身で確認しておきましょう。

気になる年金の受給額ですが、自営業者(第1号被保険者)は国民年金(基礎年金)として月約6万5千円。サラリーマン(第2号被保険者)は国民年金(基礎年金)に加え厚生年金も併せて月約22万円(標準的な金額)ほどです。その配偶者も国民年金(基礎年金)の月約6万5千円となっています。

皆さんは、どの年金からいくら受け取れるのでしょうか? 毎年、誕生日を過ぎると「ねんきん定期便」が送られてきますので、受給予定額を確認してみてください。

(参考)日本年金機構ホームページ(https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/20140710.html

一方「私的年金」は、「公的年金」とは別に、私たち国民が自助努力として加入し積み立てて、将来の老後の生活のために自分自身で準備する年金のこと。企業が独自に用意する制度もあれば、個人で商品を選ぶ年金商品もあり、こちらも種類が色々とあります。

「確定拠出年金」は、これら「私的年金」のうちの「企業年金」と「個人年金」の両方に該当します。

「確定拠出年金」理解しておきたい種類とデメリット

「確定拠出年金」のいい面をご紹介してきましたが、デメリットはあるのでしょうか? 以下で、解説していきます。

確定拠出年金のデメリット

注意しておきたい確定拠出年金のデメリットについて、企業型・個人型にわけてご説明していきます。

まず、企業型の場合は、企業は掛金を拠出してくれるだけで、その後の運用商品の選択やその運用結果について責任を持ってくれません。つまり運用結果については、従業員の自己責任になるのです。また、運用商品のラインナップですが、取扱商品の数が比較的少ない傾向があり、投資信託などの選択の幅がせまく自分自身に合ったベストの運用商品を選べないなどというケースもあります。

個人型つまりiDeCoのデメリットは、運用結果が自己責任であること。さらには60歳になるまでは現金化できないという点にも気をつけなければいけません。「NISA」や「つみたてNISA」など他の節税制度と比べると、流動性が低い制度となります。ですから、60歳までの間に想定される大きな支出(例えば自宅の修繕費など)を見越したうえで、掛け金を決める必要がありますね。

個人型確定拠出年金とは?

「個人型確定拠出年金」は、いわゆるiDeCoと呼ばれる制度です。利用できるのは、自営業者や確定拠出年金制度がないサラリーマンや専業主婦(夫)など。

拠出額は月額上限68,000円で証券会社や銀行などのiDeCo取扱い金融機関にiDeCo用の口座を開いて、そちらに毎月掛け金を積み立てながら資産運用をしていきます。

選択できる運用商品のラインナップやかかる手数料体系は金融機関によってまちまちです。なるべくコストを抑えて選択肢が幅広い金融機関を選択したいところですね。

ただし、一旦支払った掛け金は60歳までは原則引き出し不能となりますので、掛け金を決めるときには引き出し自由な「NISA」や「つみたてNISA」などを組み合わせて慎重に考えることをおすすめします。

企業型確定拠出年金とは?

「企業型確定拠出年金」は企業が従業員の退職金の積み立てのために独自に用意する制度です。会社から従業員ごとに支給(拠出)される毎月の掛け金は、企業の規程により定められています。ご自身がいくら拠出してもらっているかは、毎月の給与明細を見れば記載されているので確認しましょう。

個人型iDeCoと違って会社が導入している制度ですので、ここから逃れることはできず利用せざるを得ないわけです。ですから、取扱商品ラインナップから自分に合った商品を選んで毎月の積立投資により着実に将来の退職金づくりをしていくことをおすすめします。

会社が拠出する掛け金に自分の給与からさらに上乗せすること(マッチング拠出)ができる場合には、拠出枠の範囲内でいくら給与から拠出するかを検討しましょう。

まとめ

確定拠出年金制度について理解が深まったでしょうか? とても「お得な」制度にもかかわらず預金のまま放置しておくのは、あまりにももったいない話です。しっかりと節税をしながら積立投資を継続し、60歳以降の老後の資金作りに役立ててみてください。

資産運用は投資信託など複数の商品を組み合わせたポートフォリオ(資産配分)を決めて、それに従った長期投資が基本となります。前提となる資産運用の基礎知識をしっかり学んだうえで実行に移していきましょう。

●構成・編集/末原美裕(京都メディアライン・http://kyotomedialine.com

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

 

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