正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。

Google 先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。

「脳トレ漢字」第159回は、「悉皆」をご紹介します。「悉皆」という言葉の意味が転じて、職業を表す名称にもなっています。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。

「悉皆」とは何とよむ?

「悉皆」の読み方をご存知でしょうか? 「悉」の読み方が難しいかもしれませんが……

正解は……
「しっかい」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「残らず。すっかり。全部。」と説明されています。元々は、「全部」「皆」という意味を持つ名詞でしたが、「全く」「全然」という副詞として使われることも多くなっていきました。

また、「悉皆」と「皆悉(かいしつ)」は、奈良時代頃には「ことごと」と読まれ、平安時代以降は「ことごとくみな」「みなことごとく」のように、字に即して読まれるようになったそうです。奈良時代に「悉皆」という表現が存在していたのは驚きですね。

「悉皆」の漢字の由来は?

「悉」という漢字は、心と釆(はん)(つまびらか)から成る会意文字です。「皆」という漢字と組み合わせることで、「全て残らず」「全部」という意味を持つ言葉になったと考えられます。仏教の書物などに多く用いられている「悉皆」。いつのまにか、一般にも広く使われるようになったそうです。

江戸時代から続く「悉皆屋」

皆さまは、「悉皆屋」という職業についてご存知でしょうか? 悉皆屋とは、大坂に店舗を構えて染物や洗い張りなどを請け負っていた業者のことです。注文を受けたあとは、京都の専門店に取り次いでいたとされています。

染物についての全てを請け負ったため、「悉皆屋」と呼ばれるようになったそうです。現在でも、衣服のシミ取りや仕立て替え、クリーニングなどのサービスのことを「悉皆業務」と言うことがあります。

***

いかがでしたか? 今回の「悉皆」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 普段の会話ではあまり使われない「悉皆」。言葉の意味が転じて、職業を表す名称として使われているということがわかりました。

「悉皆業務」や「悉皆屋」という表記を見かけた時は、「全て」という意味を持つ「悉皆」が名前の由来になっているということを、思い出してみてくださいね。

文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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