本体の蓋に入った「牙のない仔象」のロゴマーク。ショルダーベルトも太くて堅牢。ストラップなどの金具も真鍮でつくられている。
ショルダーバッグ16万5000円/ハンティング・ワールド モデル名は「バチューサーパス キャリーオールM」。横38×縦26×奥行き9cm。誕生50周年を記念して、今年は初代を再現したモデルも発売中。
ハンティング・ワールド帝国ホテル店 電話:03・3501・7080(上写真も同じ)

「私が旅を始めた十代の終わりごろ、運ぶ道具によくできたものがなかった」。『ハンティング・ワールド』の創設者ロバート・M・リー(通称ボブ・リー)は、『メンズクラブ・ブックス14 男のバッグ』(婦人画報社刊)でこう語る。

ボブが生まれたのはニューヨーク州ロングアイランド。早くから乗馬、射撃、フィッシングなどに親しみ、いつしかアフリカに行きたいという夢を持っていた。その夢が早くも10代で実現。ウガンダ、タンザニアを数か月にわたって旅する。冒頭の話はこの旅を指しているのだろう。1959年にはサファリツアーを案内する会社をアンゴラに設立。その後は、アフリカ各地を旅するとともに、野生動物の調査と保護までもボブは行なっていたが、アンゴラで内戦が勃発し、帰国を余儀なくされる。

1937年、ニューヨーク州ロングアイランドに生まれたロバート・M・リー。アフリカでの経験を活かして1965年に『ハンティング・ワールド』を創設した。
©Robert.M Lee

アメリカに戻ったボブは、アフリカで培った知見を活かして、1965年に『ハンティング・ワールド』を創設する。「考えうる限り最高のものを創る」。これがブランドを始めるにあたって掲げたボブの哲学だ。過酷な自然環境では何が起こるかわからない。自然と対峙する旅でも快適に過ごせる道具、たとえばカメラなどの精密機械でも暑さや湿気からも守れるバッグを中心にした製品開発に着手する。

しかし、既存のものでは納得のいくものができないと、自ら素材づくりに乗り出す。それが「バチュー・クロス」と呼ばれる素材だ。コーティングを施したナイロン生地にウレタンフォームを張り合わせ、ナイロンジャージーを裏張りしたクッション性を持つ3層構造の生地。機動力に繋がる軽さを備え、撥水性と防塵性、衝撃緩和などの機能と耐久性を持っている。摂氏54度にも達するアフリカの酷暑から、零下23度まで下がるパミール高原などでテストを繰り返し、ようやくボブの理想の生地が出来上がった。

進化するバチュー・クロス

その「バチュー・クロス」を使い、ショルダータイプに仕上げたバッグ「バチュー・オリジン」が発売されたのが、1972年。奇しくも今年で50周年を迎える。今回紹介する「バチュー サーパス」は2010年に表されたモデルだ。

’72年に発表された初代の色や意匠はそのままに、現代的な感覚を加えた人気のショルダー。ボブが生み出した「バチュー・クロス」も表面2層のコーティングにポリカーボネート系のポリウレタンを採用し、強度がアップしている。

「バチュー・クロス」を使った製品は大量生産が難しく、優れた職人がいるイタリアで製作。それぞれに製品番号が入っている。

前述の本では「私がこれまで絶対に妥協しなかったこと、それは自分で使ってみたいと思わないような品物は絶対に売らないということです」とボブは語っている。冒険を愛し、常に自分がデザインするものに対して“最高”を求めた彼の意志は、いまもこのバッグに息づいている。

文/小暮昌弘(こぐれ・まさひろ) 昭和32年生まれ。法政大学卒業。婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)で『メンズクラブ』の編集長を務めた後、フリー編集者として活動中。

撮影/稲田美嗣 スタイリング/中村知香良 撮影協力/AWABEES

※この記事は『サライ』本誌2022年5月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。

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