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住まい

入居契約前にしっかり確認!失敗しない「サ高住」の見極めポイント

取材・文/坂口鈴香

前回の記事で解説したように、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住・さこうじゅう)とは、バリアフリーで、安否確認と生活相談サービスがついた賃貸住宅のことだ。賃貸住宅なので、介護が必要になると、外部の事業所と入居者個人が契約して、ケアプランに沿って、訪問介護を受けたり、デイサービスに通ったりすることになる。

だが、実際はサ高住が提供するサービスにはさまざまな形がある。その質のばらつきも大きい。

サ高住には、有料老人ホームにある「介護付き有料老人ホーム・入居時自立型」「介護付き有料老人ホーム・介護型」「住宅型有料老人ホーム」といった類型や入居時の要件などはない。つまり、そのサ高住でどんなサポートを受けながら暮らすことができるのか、広告などの表示から把握することはむずかしい。

そこで今回は、入居を検討しているサ高住がどんなサ高住なのか、自分や親に向いているのかを見分ける方法をご紹介しましょう。

*  *  *

サ高住の2つのタイプとは

まず、サ高住にも、有料老人ホームのように「介護タイプ」と「自立タイプ」の2つのタイプがあることを知っていただきたい。明示してあるわけではないし正式な名称でもないが、運営主体のスタンスによって、おおむね「介護タイプ」と「自立タイプ」に分けられるのだ。

「自立タイプ」は、「サ高住はあくまでも賃貸住宅。自分の好きな生活を楽しんでほしい」というスタンス。提供するのは、高齢者に安心で快適な住まいで、サ高住に必須のサービス以外にはサ高住としての特別なサポートはない。

今は元気で自立した生活ができているし、できるだけ自由な生活が送りたいと思う人は「自立タイプ」が向いている。

一方の「介護タイプ」は、サ高住独自の生活支援サービスを充実させている。スタッフは介護の有資格者が多く、入居者が契約した介護保険による介護サービス以外の部分はサ高住によるサービスで入居者の生活全般を支える。

自由な生活を送りたいとは思っているが、将来の不安が大きい、あるいは現在健康に不安があったり、食堂などへは自分で行けるものの、足腰が弱っていたりする人には「介護タイプ」が向いている。

では、実際に自分や親に向いている「サ高住」の見分けポイントをご紹介していこう。

自室キッチンと浴室の有無

「自立タイプ」の居室には、キッチンや浴室がついている。逆に言えば、自由な生活を送りたければ、自炊ができないといけないし、入浴も好きな時間にできないといけない。そのためには、自室にこれらの設備がないと快適な暮らしはできないと言えるだろう。

一方「介護タイプ」の居室にはキッチンや浴室がついていない場合がある。その場合は自炊できないので食堂を利用し、入浴は共用施設の浴室を利用することになる。これも逆に言えば、一人での入浴に不安があれば、自室で入浴するのでなく、共用施設の浴室で入浴できる方がよい場合もある。オプションサービスで職員が見守りをしてくれることもあるし、見守りがなくても長時間浴室から出てこないなどの異変に気付いてもらえやすいからだ。ただし共用の浴室を利用する場合、利用時間が決まっていることが多いので、好きな時間に入浴することはできなくなる。

なお、介護認定を受けて、訪問介護サービスを利用するのであれば、自室の浴室で入浴介助を受けることはできるので、介護型であっても自室に浴室があるに越したことはない。キッチンも、家族が来たときなどのためについている方がよいだろう。

ちなみにサ高住の登録基準は、居室は原則として各戸25平方メートル以上だが、居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分が共同で利用するため十分な面積がある場合は18平方メートル以上となっている。さらに、各専用部分に台所、トイレ、収納設備、洗面設備、浴室を備えていることになっているが、共用部分に共同で利用するための台所、収納設備、浴室を備えることで居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備、浴室は備えなくても良いとされている。

つまり「介護タイプ」で、居室に浴室やキッチンがない場合、居室の面積は小さく、家賃も安くなる傾向がある。

介護サービス事業所の有無

では介護サービス事業所が併設されていれば「介護タイプ」なのか?というと、これは一概には言えない。前回も解説したとおり、同じ建物に介護サービス事業所が入っているサ高住もあるが、これはテナントとして入っているのであって、いつでも介護サービスが受けられるというわけではない。あくまでも契約した時間だけしか介護サービスを受けることはできないからだ。

ただし、介護サービス事業所が併設されていれば、介護サービスを提供することに熱心な姿勢の表れだとはいえるだろう。といっても、本来は入居者が自由に介護サービス事業所を選んで契約できるのがサ高住。入居者や家族にとっては、介護サービス事業所が併設されていると安心だと思いがちではあるが、事業所を選択する自由がなければ、それは入居者にとっては決してメリットとは言えない。入居者を囲い込むことで、利益を得ようとしているサ高住があるのも事実だからだ。

重要事項説明書の要チェックポイント

サ高住にも、有料老人ホームのように「重要事項説明書」があるので、手に入れて内容を確認してほしい。似たような様式のものが「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」のサイトから閲覧できるようになっており、職員の資格や夜間の人員配置、対応可能なサービス、オプションサービスなどの情報が公開されている。

すべてのサ高住の情報が出ているわけではないが、職員の資格や夜間の人員配置、認知症に対する対応などは、介護タイプか自立タイプかを見極める一定の判断基準とはなるだろう。一例を挙げれば、「職員が介護の有資格者である」「夜間の職員配置あり」「認知症に対応する」「オプションサービスとして身体介護サービスがある」なら、介護タイプだと考えてよいだろう。

事前見学は必須でチェックすること

有料老人ホームと同様、サ高住も見学には必ず行ってほしい。先に挙げた居室の設備や共用施設のチェックは必須だ。

またフロント周辺の雰囲気も感じ取ってほしい。時間にもよるが、自立タイプのサ高住には職員の気配が薄いことが少なくない。食事時間に食堂の様子を見てみるのもおすすめだ。どれくらいの身体状況の入居者がいて、どんなサポートを受けているかの目安にはなる。自立タイプだと、食堂を利用する入居者自体そう多くない。

なお、サ高住は賃貸住宅なので、有料老人ホームのように体験入居はできないことがほとんどだ。

施設長や職員に直接聞いておくべきこと

最終的な判断ポイント、それは施設長など職員に話を聞くことだ。身体が衰えてもできるだけ長く住みたいのであれば「介護が必要になっても住み続けることができますか?」「どれくらいの介護度まで住むことができますか?」と率直に聞いてみよう。

「うちはあくまでも賃貸住宅なので」という答えが返ってくるようなら、自立タイプ。自立タイプであっても、健康を維持するために体操を共用施設で行うなどの取り組みを行っていることもあり、施設の姿勢をはかる目安になる。

「介護が必要になれば、自宅にいるのと同じように訪問介護やデイサービスを利用して暮らすことになります」と言われたら、サ高住としての生活支援サービスにはどのようなものがあるのか聞き、料金も確認しておきたい。介護タイプなら、入居者の生活全般を支える具体的な話をしてくれるはずだ。その際、話に熱意が感じられるかどうかもポイントだ。

サ高住であっても、最終的には信頼できる職員がいるかどうかが判断基準になる。信頼できるかどうかは、各自が実際に話を聞いて判断するほかない。

*  *  *

以上、今回は「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」の2つのタイプと見分け方を紹介した。

本来、サ高住は比較的介護度の軽い方までに向けた住まいとしてつくられている。サ高住の制度がはじまって年数が経つうちに、入居者の身体状況はより重くなっているように感じている。

サ高住は自宅で暮らすよりは安心とはいえ、入居者の生活全般を面として支えている介護付き有料老人ホームのような感覚で入居すると、「こんなはずではなかった」と思うことにもなりかねない。賃貸住宅なので、有料老人ホームよりも入りやすく出やすいものの、すぐに退居することになっては、資金や体力を無駄に使うことになりダメージは少なくない。自立タイプに入居したものの、家族のサポートがなくては暮らしていけないようなら、家族にとっての負担も大きい。

契約する前に、そのサ高住が本当に自分や親が希望する暮らし方に合っているのか、しっかり見極めてほしい。

取材・文/坂口鈴香
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終活ライター”。訪問した施設は100か所以上。20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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