本木雅弘演じる斎藤利政が出家し、斎藤道三を名乗ることになった。同時に家督を嫡男高政(演・伊藤英明)に譲ったが、そのことが美濃斎藤家に新たな火種をもたらしてしまう。

* * *

出家姿も様になる本木道三。

出家姿も様になる本木“道三”。

ライターI(以下I): ついに斎藤利政(演・本木雅弘)が出家しました。ここから名実ともに斎藤道三になります。〈仏門に入り、世俗の塵を払うた〉と語る姿に魅せられましたね。

編集者A(以下A):いや、しかし、僧形となった本木“道三”のはまり具合が凄い! 本当に剃りあげたようで全く違和感がない。

I:特殊メイクを担当されたのは、2009年の大河ドラマ『天地人』などでも活躍した特殊メイクアップアーティスの江川悦子さん。俳優さんの頭を実寸して3Dプリンタで作ったラテックス製の羽二重(通称ラテハブ)を使っていますからね。

A:本当にリアルです。リアルだからこそ見る人を引き込む。本木さんの演技もいよいよ凄みが増してきましたから、その迫力たるや、斎藤道三が憑依したかの如くです。

I:この特殊メイクは、仕上げるまで毎回3時間もかかるそうです。〈頭の中はサウナ状態〉と本木さんが語っていました。

A: リアルに見せるのも、そうした努力の賜物なんですね。さて、今回は初めて、高政(演・伊藤英明)の弟たちが登場しました。斎藤孫四郎(演・長谷川純)と喜平次(演・犬飼直紀)ですね。孫四郎が光秀を訪ねるという展開でした。

I:兄の高政(義龍)が織田彦五郎信友の家老と密談を重ねていると相談していましたね。ところが、光秀は孫四郎の誘いに乗らない。

A:光秀も苦しいところですね。 ちなみに織田彦五郎は、尾張下四郡の守護代ですから、本来、信長の主家にあたります。尾張の主導権争いも緊迫してきました。

I:高政ははっきりと〈孫四郎をそそのかしているのは帰蝶だ〉と断じていました。

A:織田一族の主導権争いに美濃斎藤家が噛んでくるという展開です。その中でなんと尾張の守護・斯波義統(しば・よしむね)が暗殺されてしまいました。

I:斎藤道三ですら、守護の土岐頼芸を殺さずに追放に留めていたにもかかわらず、尾張では殺害してしまったわけですね。下剋上の戦国といえども「主殺し」はよほどのことです。

A:斯波義統の息子の斯波義銀(しば・よしかね)が信長のもとに逃げてきました。〈この信長が清須攻めの先陣をきってご覧にいれます〉と、信長は、義銀を保護します。信長にとっては彦五郎攻めのいい口実になりましたね。

I:今回も〈女軍師・帰蝶〉が暗躍しました。信長のため、父道三のために、兄高政と対峙する覚悟でした。信長の叔父にあたる織田信光(演・木下ほうか)との密談シーンが手に汗握る展開でした。

A:当欄ではこれまで、『麒麟がくる』では、干し柿、饅頭、マクワウリ、あぶり餅など、甘い食べ物が登場することを指摘してきました。今回も重要なシーンで甘い食べ物が投入されてきましたが、帰蝶と信光の密談では、なんとお団子が登場しました。

I:団子の蜜がこぼれ落ちそうになる演出がありましたね。あのような緊迫シーンで甘い食べ物が投入されることは、今後も甘いものがキーアイテムになってくると予測しておきます(笑)。

A:帰蝶と密談していた信光が、味方をすると見せかけて織田彦五郎信友を殺害します。父道三がかつての夫土岐頼純を殺害したのを間近に見ただけのことはある。まさに〈女軍師〉!

I:でも、少し露骨のような気もします。光秀との関係が悪化しなければよいのですが。

帰蝶との密談時に、団子を頬張る信長の叔父信光(演・木下ほうか)。

帰蝶との密談時に、団子を頬張る信長の叔父信光(演・木下ほうか)。

桶狭間の戦いに向けたストーリーも展開

A:ところで、今回は東庵(演・堺正章)が駿河の今川家に滞在していました。いよいよ桶狭間に向けたサイドストーリーが始まった感があります。

I:この時期は松平竹千代も人質として滞在していますからね。サイドストーリーの展開も楽しみです。

A:今週は、藤吉郎(演・佐々木蔵之介)も駿河にいました(笑)。

I:行商人ですから自由に出没できますものね。前回も『徒然草』を手にしていましたが、今週も第112段〈一生は、雑事の小節にさへられて、空しく暮れなん〉が登場しました。
いつまで、『徒然草』シリーズが続くのでしょうか(笑)?

A:太原雪斎に菊丸が薬草の鴨子芹(かもこせり)を手配しようとしたり、藤吉郎と遭遇したりする様子も描かれました。〈血迷うたか、この草履とりが!〉って、どっちが? と一瞬迷いました。

I:この時点ではまだ今川に分があると踏んでいる藤吉郎が、どのように織田家に仕官するのかも楽しみですね。しかし、いよいよ本木道三がクライマックスに向けて動き出しました。

A:僧形になって、より妖艶さがアップしました。本当に目が離せません。

I:神回まであと2回ですね・・・・・。いや、もう神回は始まっているのかもしれません。

●ライターI 月刊『サライ』ライター。2020年2月号の明智光秀特集の取材を担当。猫が好き。

●編集者A 月刊『サライ』編集者。歴史作家・安部龍太郎氏の「半島をゆく」を担当。初めて通しで視聴した大河ドラマは『草燃える』(79年)。NHKオンデマンドで過去の大河ドラマを夜中に視聴するのが楽しみ。編集を担当した『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』も好評発売中。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

 

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