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選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)

森と湖の国フィンランドの作曲家シベリウスの音楽は、北国の自然を思わせる作品の親しみやすさと深さのおかげで、ここ数十年でますます愛されるようになってきた。

1962年エストニア出身の指揮者パーヴォ・ヤルヴィが、パリ管弦楽団とともに新しく録音した『シベリウス:交響曲全集』は、フランスのオーケストラとしては初めての全集になるというが、これまでの演奏とは一線を画する、明晰で力強い音楽が満喫できる。

パーヴォによれば、いわゆる「伝統」とは、常にある種の危険を伴うものだという。惰性に陥ったり、柔軟な理解や直感的な反応ができなくなることも多いというのだ。その点、シベリウス演奏の伝統を持たないパリ管は、真の意味でシベリウスを探索する冒険に乗り出すことができたという。

それゆえか、この演奏はみずみずしく、新しい歌に満ち、太い筆で一気に描ききるかのような勢いがある。長く付き合えるセットになりそうだ。

【今日の一枚】
シベリウス:交響曲全集
パーヴォ・ヤルヴィ指揮 パリ管弦楽団

発売:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 
http://www.sonymusicshop.jp/
7500円(3枚組)

文/林田直樹
音楽ジャーナリスト。1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、音楽之友社を経て独立。著書に『クラシック新定番100人100曲』他がある。『サライ』本誌ではCDレビュー欄「今月の3枚」の選盤および執筆を担当。インターネットラジオ曲「OTTAVA」(http://ottava.jp/)では音楽番組「OTTAVA Salone」のパーソナリティを務め、世界の最新の音楽情報から、歴史的な音源の紹介まで、クラシック音楽の奥深さを伝えている(毎週金18:00~22:00放送)

※この記事は『サライ』本誌2019年3月号のCDレビュー欄「今月の3枚」からの転載です。

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