文/堀けいこ
音楽に限らず、様々な芸術分野で活躍する優れたアーティストを語るときに使われる言葉がいくつかある。天才、鬼才、名手……。キューバ生まれのアルトゥーロ・サンドヴァルを呼ぶとすれば、ラテン・ジャズ・トランぺッターの“重鎮”ということになるだろう。グラミー賞に輝くこと10回。まさしくスーパー・トランぺッターである彼のステージを、9月11日から3夜連続、東京・青山のブルーノート東京で観ることができる。
ジャズを代表する楽器と言ってもいいトランペット。ジャズの歴史には、ルイ・アームストロング、マイルス・デイビス、クリフォード・ブラウンなど、不世出のトランペッターたちが名を残す。それぞれに個性を持つ彼らの演奏は、今もジャズ・ファンの心を捉えて離さない。そんな中にあって、アルトゥーロ・サンドヴァルは、太く深く響く重低音から脳天を直撃するような超ハイノートまで、信じがたいほど広い音域の演奏を聴かせてくれる超絶技巧のトランぺッターとして広く知られている。
キューバ出身の彼は、伝説のキューバン・ジャズ・バンド、イラケレのトランぺッターとして世に出たが、モダン・ジャズの開祖のひとりディジー・ガレスピーにその才能を認められ、ソロ・アーティストとして人気を博すようになる。1999年にはアメリカに帰化。2013年にはアメリカ政府から自由勲章を授与されている。
アルトゥーロは、トランペッターであると同時に、ピアノ・アルバムを出すほどの優れたピアニストでもある。昨年のブルーノート東京のライブでは、入魂のバラード・プレイをピアノで聴かせている。また、ヴォーカリストとしての技量もかなりのもので、渋い歌声で観客をうっとりさせた場面を記憶しているファンも多いはず。
この夏、アルバム『アルティメット・デュエット』をリリースしたばかりのアルトゥーロ。ラテン音楽シーンのみならず、今旬なファレル・ウィリアムスやアリアナ・グランデ、スティービー・ワンダーや世界的テノール歌手のプラシド・ドミンゴなど、豪華アーティストたちと繰り広げる“デュエット”が注目を集めている。目前に迫った9月11日からのステージでは、ニューヨーク出身のトップ・ジャズ・シンガー、ジェーン・モンハイトが同行して、同アルバムのナンバーを聴かせてくれるはず。
「実力とキャリアもさることながら、今こんなに豪華なアルバムを完成させられるジャズ・ミュージシャンは、片手で数えられるくらいしかいないでしょう。そんな天才トランペッターが人気ジャズ・シンガーを迎えるゴージャスなステージを、どうぞお楽しみください」とは、ブルーノート東京の広報担当の原澤美穂さん。
ブリリアント(才気あふれる)なトランペットと、包み込むような歌声の競演に、心から酔いしれたい。
※本公演は、「敬老の日」ご招待プラン。70歳以上の方はミュージックチャージが無料になります。
【スケジュール】
2018年9月11日(火)、12日(水)、13日(木)
時間、料金、「敬老の日ご招待プラン」などの詳細は
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/arturo-sandoval/
【会場】
ブルーノート東京 東京都港区南青山6-3-16
ご予約/お問合せ 電話:03-5485-0088
文/堀けいこ