「国宝は、国の宝であり、私たち国民の宝」であることを再確認し、国宝の素晴らしさを伝えていくプロジェクトしてスタートした「国宝応援団」。その目玉として創刊されたウィークリーブック「週刊ニッポンの国宝100」(発行:小学館)の全50巻が9月18日(火)完結します。
この「週刊ニッポンの国宝100」完結記念として、国宝や文化財、日本の伝統工芸の魅力を伝えるイベント「国宝応援団2018」を、9月19日(水)~10月8日(月祝)に、東京・日本橋の日本橋三越本店で行ないます。
会場には「週刊ニッポンの国宝100」50巻すべてを展示します。カフェで時間を過ごしながら、国宝の素晴らしさや、その魅力を再発見していただけるはずです。「週刊ニッポンの国宝100」の即売も行なっています(50巻をまとめ買いした方には特典あり!)ので、気軽に足を運んでみてください。
「週刊ニッポンの国宝100」のウェブサイト
https://www.shogakukan.co.jp/pr/kokuhou100/
美術館や博物館レベルの「作品」を間近で体験
「国宝応援団2018」の会期中は、国宝や文化財、日本の伝統工芸の魅力に触れられる企画を用意しています。
見どころのひとつは、桃山から江戸への過渡期にあたる多彩な寛永文化の一側面を代表する重要な画家の一人とされる岩佐又兵衛(1578~1650。戦国大名の荒木村重の子としても知られる)による「洛中洛外図屏風 舟木本(複製)」(六曲一双、国宝)を、9月19日(水)~23日(日)に特別展示すること。
日本画は、紙・布・木など脆弱な素材を用いるため、経年的な毀損も起きやすく、また虫菌や動物による害も脅威です。なかでも、悩ましいのは、襖絵・壁貼付絵・天井画などの障壁画は、建築物や庭園と一体になった日本画のため、実物を収蔵庫に収めてしまうと、空間の再現性が重要な問題となります。
その一方で、伝統的な美術品や工芸品などの文化財は、多くの人の目に触れて、理解を広げることが、その継承には欠かせません。また近年は、日本古来の文化財は、海外からの関心が一層高くなっています。
とはいえ、公開を優先すると劣化が進み、保存を優先すると鑑賞の機会が減るという課題があります。そのため、文化財を預かる美術館や博物館などでも、模写や複製に置き換えて、「保存」と「公開」を両立させています。
こうした課題と向き合うために、1999年12月から高精細複製として大日本印刷が始めたのが、「伝匠美」と呼ぶプロジェクト。日本画が持つ色相・濃淡・階調の再現だけでなく、素材、表現手法、作者の画歴・思想や絵画空間演出など、多角的な考察を行ない、美術品鑑賞としてはもちろん、美術史など学究的な要求にも耐え得る精緻な再現性と、耐久性を両立しています。
今回展示する「洛中洛外図屏風 舟木本(複製)」は、普段は美術館や博物館で「複製」として展示している「伝匠美」によるものを、間近で鑑賞できる貴重な機会です。このほか、国宝「花鳥図(複製)」(襖二面、狩野永徳作。大徳寺聚光院 所蔵)、「洛中洛外図屏風 池田本(複製)」(六曲一双、2分の1サイズ)なども展示します。
なお、「洛中洛外図屏風 舟木本(複製)」などは、注文生産による特別販売も行ないます。暮らしのなかで、美術館や博物館レベルの「洛中洛外図屏風 舟木本(複製)」を楽しむ好機なので、ご興味のある方は、ぜひ足をお運びください。
※「伝承美」について詳細は、下記をご覧ください。
伝承美|大日本印刷
http://www.dnp.co.jp/denshoubi/
※国宝の実物展示はありません。ご了承ください。
刀剣×講談が生み出す劇的ロマン、秋の奈良・京都の旅行のテーマにもおすすめ
いま刀剣が密かなブームになっています。そして、国宝の中にも数多くの刀剣があります(詳しくは『国宝 刀剣 ザ・極み』をご覧ください)。
こうしたなかで実現したのが、現代を代表する刀匠・河内國平(かわち・くにひら)さんと、人気講釈師・神田松之丞(かんだ・まつのじょう)さんによるイベント「発見!刀剣×講談が生む<劇的ロマン>」。「国宝応援団2018」の特別イベントとして、9月27日(木)17時から、日本橋三越本店 本館6階の三越劇場で行ないます。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。当日は、今秋話題の奈良国立博物館で開催の「第70回 正倉院展」や、京都国立博物館で行なわれる「特別展 京のかたな-匠のわざと雅のこころ」などにも触れる予定です。秋の旅行のテーマに“刀剣”を加えてみてはいかがでしょう?
世界的に注目されている「豊山声明」を実演
声明(しょうみょう)とは、お経に節をつけて唱える荘厳な仏教音楽の一種です。中でも、真言宗豊山派(ぶざんは)の総本山・長谷寺(はせでら、奈良県桜井市)に伝承される「豊山声明(ぶざんしょうみょう)」は、千年以上の歴史を持ち、若いの女性のなかには密かに追いかけるマニアもいるとか。世界的にも注目されていて、ローマ法王庁のあるバチカン市国でも公演され、称賛されています。
普段はなかなか経験できない「豊山声明」を、「国宝応援団2018」が注目。9月27日(木)13時から、東京・日本橋の三越劇場(日本橋三越本店 本館6階)で体験できるイベントを開催します。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
このほかにも「国宝」を体験できる企画が盛りだくさん!
このほか「はじまりのカフェ」では、小学館イマージュが取り扱う美術印刷作品のなかから「千住博 源氏物語」などを展示・販売します。また“21世紀の超絶技巧!”とも称され、「太陽の塔展」の公式フィギュアなどを作る海洋堂の精密フィギュアの展示・販売、国宝にちなんだスペシャルフードメニューなど、さまざまな形で、“国宝”を体験できる企画を用意しています。
この秋は、「国宝応援団2018」をきっかけに、私たちが大切にし、後世に伝えるべき国宝について考えてみてはいかがでしょう?