新着記事

ル・コルビュジエ「サヴォワ邸」(1928-31年) 国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代 招き猫の形に仕上がった金花糖 江戸時代生まれの伝統菓子「金花糖」|都内でただ一人、製造・伝承する菓子職人 素敵な殿方の運転【彩りカーライフ~自分の人生をかろやかに走ろう~】 胸がきゅんとした!素敵な殿方の運転【彩りカーライフ~自分の人生をかろやかに走ろう~】 【管理栄養士が教える減塩レシピ】|だしを楽しむ料理 鰹節と昆布で一番だしを取ろう! 【管理栄養士が教える減塩レシピ】だしを楽しむ料理 |鰹節と昆布で一番だしを取ろう! オイルポット・ストーブ|見ているだけで心温まる鋳鉄製のアロマポット 【家族のかたち】父親と同じように離婚、そして子供と離れて暮らすように。当時の父親の気持ちが痛いほどわかるようになった~その2~ 【家族のかたち】父親と同じように離婚、そして子供と離れて暮らすように。当時の父親の気持ちが痛いほどわかるようになった~その2~ 【家族のかたち】両親の不仲、別居、そして離婚。離れて暮らす父親は会いたいといつも言ってくれていた~その1~ 【家族のかたち】両親の不仲、別居、そして離婚。離れて暮らす父親は会いたいといつも言ってくれていた~その1~ 甘えん坊の猫さんに試してみてくださいね 猫の運動不足&ストレス解消には「キャットアジリティー」が効果的【にゃんこサライ特別編】 造園家・小杉左岐さん(72歳)の朝めし自慢「60代に入ってから塩分と油分を控えた献立です」 倭ism 鹿革のカジュアルシューズ|日本の伝統皮革・鹿革製のスニーカー

サライ本誌最新号

ピックアップ記事

  1. 角野栄子さん
  2. 松本零士 不滅のアレグレット〈完全版〉

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

趣味・教養

競輪マニアだった坂口安吾の愛用のストップウォッチ【文士の逸品No.28】

◎No.28:坂口安吾のストップウォッチ

坂口安吾のストップウォッチ(撮影/高橋昌嗣)

文/矢島裕紀彦

「一生涯(略)走りつづけて、行きつくゴールというものがなく、どこかしらでバッタリ倒れてそれがようやく終わりである」

坂口安吾の生の道筋は、まさに、自らが『青春論』に記したこの一文のようであった。

事物や金銭に縛られるのを嫌い、徹頭徹尾、ひとりの自由人として生き抜こうと意志した。狂おしいほどの希求であった。国税局を相手どった「税金闘争」や、自転車協会を向こうに回して八百長問題を追及した「競輪事件」も、『堕落論』執筆と同根の、反骨の魂の雄叫びであったと思える。

疾駆する自転車のラップタイムでも計測したのか。安吾が競輪に凝りだしたころ買い入れたと覚しきストップウォッチが、観戦用のオペラグラスとともに東京・新宿区の坂口家に保存されていた。印象的な黒赤二色の文字盤。ガラス板右上部に雷の如き亀裂が走る。

競輪事件の最中、鬱(うつ)病も手伝って被害妄想的に身の危険を感じ檀一雄邸に逃げ込んだ折、近所の蕎麦屋に注文した百人前(!)のカレーライスを待つ間にも、このストップウォッチが時を刻んでいたという伝説がある。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。『サライ.jp』で「日めくり漱石」「漱石と明治人のことば」を連載した。

写真/高橋昌嗣
1967年桑沢デザイン研究所 グラフィックデザイン科卒業後、フリーカメラマンとなる。雑誌のグラビア、書籍の表紙などエディトリアルを中心に従事する。

※この記事は、雑誌『文藝春秋』の1997年7月号から2001年9月号に連載され、2001年9月に単行本化された『文士の逸品』を基に、出版元の文藝春秋の了解・協力を得て再掲載したものです。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 森茉莉が可愛がっていた犬のぬいぐるみ【文士の逸品No.39】
  2. 中勘助が幼少期に使っていた銀の匙【文士の逸品No.38】
  3. 林芙美子が出版記念品として配った灰皿【文士の逸品No.37】
  4. 音楽好きの宮澤賢治が奏でたチェロ【文士の逸品No.36】
  5. 文士・尾崎士郎が履いていた奇妙な下駄【文士の逸品No.35】
PAGE TOP