人は誰しも最期を迎えます。いつか来るその時に向けて終活を考えなければと思いながら、命の終わりについて考えるのはちょっと重いしちょっと怖い。そう思っている人も多いでしょう。

終活スナック「めめんともり」の店主で海洋散骨のパイオニアと言われる村田ますみさん。初のライトエッセイ『ちょっと死について考えてみたら怖くなかった』(ブックダム)では、「死は恐れるものではなく、生き方を見つめ直すもの」と、目を背けていた人たちの背中をそっと押してくれます。

今回は、入棺体験のワークショップの際に読む弔辞についてご紹介します。誰に弔辞を読んでもらいたいのか、どんな弔辞がいいのかを考えることは、自分の人生を深く見つめることにつながります。

文/村田ますみ

あなたは誰に弔辞を読んでほしいですか?

あなたが一生を終え、棺桶に入って、祭壇の前に横たわる姿を想像してみてください。葬儀には誰が参列してくれているでしょうか? 誰があなたへの弔辞を読んでくれるでしょうか?

自分の弔辞を読んでもらう人を決め、その人からの言葉を1枚の紙に書いていくのが、入棺体験で行う「弔辞のワーク」です。書かれた弔辞は、ファシリテーターが棺桶に入っている方に向けて代読します。

弔辞を読んでくれる人はたった一人です。あなたなら、誰を選びますか?

入棺体験時のワークショップ「Who are you?」で棚卸ししたさまざまな「私」の中で、どの部分にスポットライトを当てたいのかを考えてみると、「この人に弔辞を読んでほしい」という人が見つかるかもしれません。

例えば、仕事を頑張ってきた人なら同僚や部下、家庭を大切にしてきた人は、パートナーやお子さんでしょうか(飼っている猫からの弔辞を書いた方もいます)。
楽しかった青春時代を過ごした仲間、大人になってからの趣味で出会った友人という人もいるでしょう。

実際にお子さんからの弔辞を書いた人は、「いつか自分が死ぬときに、子どもからこんなふうに思ってもらえるように頑張ろう」「子どもと過ごせる一日一日を大切にしたい」という気持ちになったといいます。
また、同僚や友人からの弔辞によって「今までの人生、自分はやりたいことをやってきたな」「充実した人生だったな」と感じられた、と話す方も少なくありません。

すでに亡くなっている親や祖父母、随分前に別れた恋人からの言葉を聞いてみたいという人もいますし、まだ出会っていない未来のパートナーからの言葉を想像して弔辞を書く人もいます。

「あのとき、本当は謝りたかった」「あの人のことが忘れられない」など自分の中で消化できていない思いや、後悔していること、やり残していることを、相手になりきって書いてみる。それによって、心が癒されたり、自分の気持ちを整理するきっかけになったりするのも弔辞のワークのよさだと思っています。

実際にワークショップを受けていただいた方が書いた弔辞を見てみましょう。

*  *  *

『ちょっと死について考えてみたら怖くなかった』
著者/村田ますみ
ブックダム 1,760円

村田ますみ
1973年東京生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。YOMI International株式会社 代表取締役CEO。IT業界、生花流通業界を経たのち、亡き母を散骨したことをきっかけに2007年株式会社ハウスボートクラブを起業。2024年2月、死についてオープンに語り合えるサードプレイス「終活スナックめめんともり」を東京都江東区森下に、2025年2月には2号店となる沖縄店をオープン。著書に『ちょっと死について考えてみたら怖くなかった』(ブックダム刊)

 

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