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『モスラ対ゴジラ』|マドンナ星由里子の可愛さにメロメロ!【面白すぎる日本映画 第19回】

文・絵/牧野良幸

女優の星由里子さんが先日お亡くなりになった。ご冥福をお祈りします。そこで今回は追悼として、星由里子さんが出演した映画を取り上げてみたい。

星由里子と言えば、「若大将」シリーズのマドンナの澄子役が有名であるが、僕の世代だと怪獣映画が最初の出会いとなる。ということで1964年(昭和39年)の『モスラ対ゴジラ』である。僕は6歳だったけど映画館に観に行った。ゴジラ映画で初の怪獣同士の対決となった作品だ。

星由里子が演じるのは、毎朝新聞の新人カメラマンの中西純子。記者の酒井(宝田明)とコンビを組んでいる。この二人が巨大台風の被害地から、放射能を帯びた謎の物体を発見するところから物語が始まる。

そこからゴジラが現れるのである。ゴジラは四日市のコンビナートを破壊し、名古屋の街も破壊していく。自衛隊の放電作戦や戦車攻撃にもビクともしない。そこで純子と酒井は、三浦博士と共にインファント島のモスラに助けを求める。いよいよゴジラとモスラの対決だ。

こう書くと、いかにもニコニコしながら映画を観ていたように思われるかもしれないが、当時は怪獣映画をかなり緊張して観ていた。暗い映画館に大きなスクリーン。大音響で流れるおどろおどろしい音楽。もうオープニングの東宝のマークを見ただけで体を硬直させたものだ。

別にゴジラやモスラが怖かったわけではない。ゴジラはぬいぐるみであり、モスラは操り操作であることは小学一年生でもわかる。怖かったのは現実から離れ、映画の世界に閉じ込められた閉塞感のようなものだったと思う。それからやはり伊福部昭の音楽の効果も大きい。あのゴジラがまさか親ではなく、生まれたばかりの幼虫(赤ちゃん)にやられてしまうのには驚いたが、それでもスクリーンに「終」という文字を見るまでは体の力を抜けなかった。

そんな時間の中で、唯一心休まるのがヒロインの存在だったのである。『モスラ対ゴジラ』では星由里子が演じる純子だ。

純子はハツラツとしたお姉さんであると同時に、母親のような存在でもある。インファント島からやってきた“小美人”(ザ・ピーナッツ)は、人間社会の中で心細そうだけど、純子が優しくいたわってやる場面を見るだけで、僕の心も落ち着くのである。こればかりは正義感の強い酒井記者だって、自衛隊だってできない。やはり怪獣映画にはヒロインが必要だ。

子どもの頃ですらそうだったのだから、大人になってから『モスラ対ゴジラ』を観返すと、もう星由里子に目がいくばかりである。取材ではキュートな帽子に小粋なパンツ、社内では清楚な赤いスカート姿、インファント島への旅では水玉のワンピースにお帽子。映画のラストシーンではこれまた赤のポップなジャケット。まるで星由里子のファッションショーを見る感じである。もちろん彼女の可愛らしさにメロメロなのは言うまでもない。

こういう女性を怪獣映画の場合はヒロインと呼ぶようだが、僕にとってはマドンナと呼ぶ方がふさわしい。「若大将」シリーズのマドンナ、澄子と同じである。怪獣映画も、美しいマドンナがあってこそなのだ。あらためて星由里子さんのご冥福をお祈りします。

『モスラ対ゴジラ』
■製作年:1964年
■製作・配給:東宝
■カラー/89分
■キャスト/宝田明、星由里子、小泉博、藤木悠、佐原健二、ザ・ピーナッツ(伊藤エミ、伊藤ユミ)、田崎潤 ほか
■スタッフ/監督: 本多猪四郎、特技監督:円谷英二、脚本:関沢新一、音楽:伊福部昭

文・絵/牧野良幸
1958年 愛知県岡崎市生まれ。イラストレーター、版画家。音楽や映画のイラストエッセイも手がける。著書に『僕の音盤青春記』『オーディオ小僧のいい音おかわり』(音楽出版社)などがある。ホームページ http://mackie.jp

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