新着記事

【娘のきもち】夫の借金とギャンブル依存に悩んでいたとき、寄り添ってくれたのは父だった~その2~

取材・文/ふじのあやこ家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親…

【娘のきもち】「人がする仕事じゃない」初めての就職先に向けられた父親の言葉。その偏った考え方が大嫌いだった~その1~

取材・文/ふじのあやこ近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過…

「龍馬のサブ」ではなかった中岡慎太郎【にっぽん歴史夜話 9】

文/砂原浩太朗(小説家)中岡慎太郎(1838~67)の名は知っていても、たいていの人…

ホテルオークラ元総料理長の『わが家でプロの味』|舌平目のポワレ プロヴァンス風

ホテルオークラ東京の開業以来、50年にわたり腕をふるった元総料理長のレシピ本『ホテルオークラ元総料理…

ネルソンスのショスタコ4番&11番|丹念で緊密な合奏が描く2つの巨大交響曲【林田直樹の音盤ナビ】

選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)「スターリンの影の下でのショスタコーヴィチ」シリーズ第3…

ウォッシュコットンハンチング|風合いの変化が楽しめる職人手作りの帽子

自然な素材感のコットン生地を使った、落ち着いた色合いのハンチングだ。帽子職人は、この道40年…

5.7キロの空中散歩!スリル満点の香港はいかが?

文・写真/りんみゆき(海外書き人クラブ/香港在住ライター)風水を日常生活の一部として取り入れ…

喪黒福造に「ドーン!!!」される!藤子不二雄(A)展レポート

取材・文/池田充枝漫画家デビューして67年、御年84歳にしていまだ現役の藤子不二雄(…

テニスボールで腰ほぐれる!5分でできる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第4回】

文/川口陽海こんにちは!腰痛トレーニング研究所の川口陽海です。腰…

今年はここに! 紅葉絶景ランキングベスト10

山々や木々が色づく、紅葉の季節がやってくる。そろそろ今年の紅葉狩りはどこへ行くか、計画を立て始める頃…

サライ最新号

ピックアップ記事

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

全国の美味がお取り寄せいただけます

趣味・教養

文豪・夏目漱石が愛用していた英国製の万年筆【文士の逸品No.23】

◎No.23:夏目漱石の万年筆

夏目漱石の万年筆(撮影/高橋昌嗣)

文/矢島裕紀彦

明治33年(1900)9月8日、夏目漱石を乗せた汽船プロイセン号が横浜港を後に欧州へ向かった。

長い航海の気鬱(きうつ)を晴らし運動不足を解消するため、漱石は学生時代から得意だった器械体操を、船内で敢行した。ところが、ある日、鉄棒をやっていて、ポケットに入れていた万年筆を折ってしまった。妻・鏡子の妹の時子が贈ってくれた、大切な品であった。漱石は悲嘆し、航海途上の10月8日付、鏡子宛の手紙にこうしたためた。

「時さんの呉れた万年筆は船中にて鉄棒へツカマツて器械体操をなしたる為め打ち壊し申候。洵(まこと)に申訳無之(これなく)御序(ついで)の節よろしく御伝(おつたえ)可被下(くださるべく)候」

ロンドンの漱石は研究書物購入のため、食費も切り詰める毎日。高価な万年筆など買えるはずもなく、つけペンで通した。再び万年筆を使い始めるのは、作家として脂がのってきた明治40年過ぎ。当初、英国ドゥ・ラ・リュー社製の「ペリカン」を選んだのは、かつての留学先という親近感が働いたためもあっただろう。インクは、ブルーブラックを嫌いセピア色を好んだ。

神奈川県横浜市の神奈川近代文学館に現存する漱石愛用の万年筆は、同じドゥ・ラ・リュー社製の「オノト」。漏出防止装置つき。インクのボタ落ちを気にする漱石のため、評論家で丸善顧問の内田魯庵が進呈したものだった。ペン先が喪失しているのは、漱石病没時、副葬品として鏡子が埋葬したためという。

漱石が留学時に使った英文字の名刺は、3×7・2センチの小型。刷色は黒。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。『サライ.jp』で「日めくり漱石」「漱石と明治人のことば」を連載した。

写真/高橋昌嗣
1967年桑沢デザイン研究所 グラフィックデザイン科卒業後、フリーカメラマンとなる。雑誌のグラビア、書籍の表紙などエディトリアルを中心に従事する。

※この記事は、雑誌『文藝春秋』の1997年7月号から2001年9月号に連載され、2001年9月に単行本化された『文士の逸品』を基に、出版元の文藝春秋の了解・協力を得て再掲載したものです。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 森茉莉が可愛がっていた犬のぬいぐるみ【文士の逸品No.39】
  2. 中勘助が幼少期に使っていた銀の匙【文士の逸品No.38】
  3. 林芙美子が出版記念品として配った灰皿【文士の逸品No.37】
  4. 音楽好きの宮澤賢治が奏でたチェロ【文士の逸品No.36】
  5. 文士・尾崎士郎が履いていた奇妙な下駄【文士の逸品No.35】
PAGE TOP