これが西郷隆盛!? 幕末・明治の浮世絵の展覧会《明治維新150年 幕末・明治―激動する浮世絵》

取材・文/池田充枝

今から約150年前、長らく続いた江戸幕府が崩壊し、新たに明治政府が樹立するという、時代の大きなうねりの中で、幕末・明治の浮世絵師たちは、時には戊辰戦争や文明開化といった社会の変化を描き、時には西洋文明の影響を受けながら、新たな絵画表現にチャレンジしました。

そして今、月岡芳年(つきおか・よしとし)や小林清親(こばやし・きよちか)ら、幕末・明治に活躍した浮世絵師たちが注目を集めています。

そんな「最期の浮世絵師」と呼ばれる芳年、清親ら幕末・明治の浮世絵師たちの展覧会明治維新150年 幕末・明治―激動する浮世絵》が、東京の太田記念美術館で開かれています。(~2018年2月25日まで)

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月岡芳年(1839-92)は、12歳で当時の人気浮世絵師、歌川国芳に入門し、20代で本格的に画業を開始します。過激な血の表現を用いた「血みどろ絵」をはじめ、役者絵、歴史画、武者絵、美人画など幅広い画題に取り組み、明治へと移り変わる激動の時代の中で、鮮烈なイメージの作品を次々と生み出しました。

月岡芳年《芳年武者兂類 源牛若丸 熊坂長範》〔太田記念美術館蔵〕前期展示

小林清親(1847-1915)は、将軍直属の御家人として15歳で家督を継ぎ、鳥羽伏見の戦いに参戦するなど、時代の大きな変化を肌身に感じる青年時代を過ごしました。幼少より絵が好きだった清親は、江戸から東京に変貌を遂げた街の風景を、光と影の表現に工夫を凝らした“光線画”と称される木版画として発表しました。

風景のほかにも花鳥や静物を題材に、西洋風の表現を意識した、明治の新しい浮世絵を生み出しました。

小林清親《日本橋夜》〔太田記念美術館蔵〕後期展示

今回の展覧会では、今年が明治維新から150年にあたることを記念して、月岡や小林らによって幕末から明治にかけて制作された浮世絵約150点(前後期で展示替えあり)が紹介されます。

本展の見どころを、太田記念美術館の学芸員、日野原健司さんにうかがいました。

「今年は、明治維新からちょうど150年。幕末・明治という時代について、いろいろなところで取り上げられることになるかと思いますが、まさしくその時期に制作された浮世絵にも注目してもらいたいところです。

まずご覧いただきたいのが、今年のNHK大河ドラマの主人公でもある西郷隆盛を描いた浮世絵。西郷隆盛と言えば、真っ先に上野公園の犬を連れた銅像を思い出す方がほとんどかと思いますが、実は、明治時代の浮世絵に西郷隆盛の姿は頻繁に登場しています。しかも、幕末・明治の偉人たちの中でもその点数は最も多く、ビシッと決まった軍服姿だけでなく、自決後に幽霊となった姿まで描かれており、西郷さんのイメージがガラリと変わってしまうこと請け合いです。

小林清親《鹿児嶋征討戦記》〔太田記念美術館蔵〕前期展示

 

また、小林清親の光線画もぜひ見ていただきたい作品。明治の文明開化によって、ガス灯の明かりが輝くようになり、夜の町の雰囲気は大きく様変わりしました。その時代の移り変わりを情緒豊かに捉えた小林清親の作品は、「これって浮世絵なの?」と思ってしまうぐらい、江戸時代の浮世絵とは色の捉え方が違います。ぜひ実物をご覧になり、明治という時代に思いを馳せてみてください」

浮世絵は、世相をビビッドに反映する大衆芸術でした。幕末・明治の時代の空気感を体感しに、ぜひ会場へお出かけください。

【展覧会概要】
《明治維新150年 幕末・明治―激動する浮世絵》
会期:
●前期 2018年1月5日(金)~1月28日(日)

●後期 2月2日(金)~2月25日(日)
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:03・5777・8600(ハローダイヤル)
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
開館時間:10時30分から17時30分まで(入館は17時まで)
休館日:月曜日(ただし1月8日、2月12日は開館)、1月9日(火)、1月29日~2月1日(展示替えのため)、2月13日(火)

取材・文/池田充枝

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