「フィガロの結婚」2013年公演より 撮影:三枝近志

「フィガロの結婚」は、偉大なる作曲家モーツァルトのオペラの代表作。不朽の名作と讃えられるように、その人気は衰えることなく、世界中のオペラハウスのレパートリーとして、いつの時代も欠かせない作品となっている。

その題名は、オペラやクラシックのファンだけでなく、世に広く知られているため、オペラ観劇の経験のない人が初めてのオペラ体験にこの『フィガロの結婚』を選ぶことも多いという。

内容は、題名にあるように、アルマヴィーヴァ伯爵の邸で働くフィガロと恋人のスザンナがめでたく結ばれようとする結婚式当日の一日に起きる騒動を描いたコメディだが、そう単純な話でもない。登場人物も多く、それらの人々のエピソードが絡みあっている。だから、初めて観ようという人は、あらすじだけでも知っておくといい。物語の流れを抑えておけば、混乱することなく、素晴らしいモーツァルトの音楽を存分に堪能できるだろう。

人気作である『フィガロの結婚』は、日本で唯一の国立オペラパレス、新国立劇場でも看板演目のひとつとなっている。この2017年シーズンは4月20日~29日までの上演である。

18世紀半ばのスペインを舞台とする『フィガロの結婚』だが、現代最高のオペラ演出家のひとりであるアンドレアス・ホモキによる演出は、貴族の屋敷らしい豪奢な装飾も、華やかな衣装の色彩もない、白と黒=モノトーンの世界を現出。その比類ない完成度の高い演出は、当劇場での初演である2003年以来、オペラの枠を超えて、多くの演劇ファンを魅了してきた。

「フィガロの結婚」2013年公演より 撮影:三枝近志

伯爵役を務めるのは、ウイーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場などで活躍するピエトロ・スパニョーリ。その他、今回のキャストは、欧米の一流歌劇場で活躍する歌手陣が勢揃い。そして、スザンナ役には、新国立劇場オペラ研修所出身で英国ロイヤルオペラ、バイエルン州立歌劇場などで大活躍する中村恵理が、10年ぶりに古巣に戻って扮する。彼女の現在の姿を舞台で観る絶好の機会として注目されている。

リズミカルで美しい旋律の中に、登場人物の心の動きが生き生きと表現されているモーツアルト・オペラの傑作『フィガロの結婚』。最後の4幕目で舞台は夜を迎え、フィガロの結婚式の長い一日が終わる。その幕が降りるときには、客席の誰もが幸せな気分になる。そんな素敵な作品を見逃す手はない。

※上記の舞台写真はいずれも過去の公演のもので、俳優や舞台は異なります。

【新国立劇場 2016/2017シーズンオペラ モーツァルト 『フィガロの結婚』[全4幕/イタリア語上演 日本語字幕付]】
■公演日:2017年4月20日(木)~29日(土祝)
■会場:新国立劇場 オペラパレス(東京都渋谷区本町1-1-1)
■ウェブサイト:http://www.nntt.jac.go.jp/opera/
■問い合わせ:電話 03・5352・9999(ボックスオフィス)

文/堀けいこ

 

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