A:いや、繰り返しになりますが、物語の最終盤でこうした合戦が登場するのは、歴史の転機、潮目の変化を考える上で特筆すべきことですね。平将門が主人公だった『風と雲と虹と』(1976年)では平将門が関白藤原忠平に仕えるという場面が登場していました。忠平は道長(演・柄本佑)の曾祖父になります。
I:将門はやがて東国で乱を起こして討伐されるのですが、刀伊の入寇はほぼそれ以来の大きな合戦ではないでしょうか。
A:そうなんです。劇中でも登場しましたが、多くの民が拉致されました。拉致された民のほとんどが海に投げ入れられたりしたそうです。そうした合戦にまひろの家に出入りしていた双寿丸(演・伊藤健太郎)が関わっているというのも象徴的です。
I:双寿丸はまひろの娘賢子(演・南沙良)と仲がよかった。一世代変わっただけで、世の中は大きく変化しようとしています。
A:これが孫の代、さらにはひ孫の代になると常識だったことが常識ではなくなり、まったく違う世になってくる。
I:そんなことがしみじみと感じられる回になりました。
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