権力者の栄華の記録とは?
I:道長正妻の源倫子(演・黒木華)が赤染衛門(演・凰稀かなめ)に執筆を依頼した物語『栄花物語』が書き進められています。
A:道長の物語を求めていた源倫子に対して、赤染衛門は道長が生まれる80年ほども遡った宇多天皇の治績から書き始めたわけです。「あれ?」と思うのは当然といえば当然でしょう。
I:現代の成功者が、自身の伝記を書くにあたって、祖父や曾祖父の戦時中の体験から書き起こすという感じになりますでしょうか。
A:赤染衛門の手による『栄花物語』は物語として読めばけっこう面白いですよね。それを源倫子の願いで書き始められたというのは面白いですね。
I:歴史はこうしてうつろいゆく。なんだか本当に感じ入る流れになってきました。
A:武士の世になるにつれて、まひろやききょう(清少納言/演・ファーストサマーウイカ)らの手によって花開いた「文学の世」が縮小していきます。
I:それも潮目の変化なのですね。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり