世界4大文明(メソポタミア・インダス・エジプト・黄河)の発展と共に文字が生まれましたが、現在でも使用されているのは黄河文明で生まれた漢字のみです。
日常的に使用していますが、読めそうで読めなかったり、もはや読み方の想像すらできないものまで存在します。近年ではパソコンやスマホの変換機能に頼って、ますます漢字が「読めない」「書けない」人が増えています。
『サライ.jp』でも人気のコンテンツ「脳トレ 漢字」のおさらい企画として、毎月5本をセレクトして、ご紹介します。隙間時間にチェックして、記憶力を鍛えながら漢字の奥深さを楽しんでください。
■1:心が震えるような感動体験を表す言葉
「心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸にたとえていった語」のことで「きんせん」と読みます。
琴線とは字のとおり、日本の伝統的な弦楽器「琴」に張られた「線(弦)」を指し、人の心を感動させるような美しい音色を発することから、心の奥深くにある、物事に感動し共鳴しやすい心情の例えとして使われるようになったとか。
最近、琴線が触れるような感動をしていますか?
※「琴線に触れる」の「琴線」、何と読む?「ことせん」ではありません
■2:山陰・西九州出身の人は読めるかも!?
梅雨が明ける6月末ごろから吹く南風のことで、「しろはえ」と読みます。主に山陰、西九州地方では、南風のことを「はえ」と言うそうです。
梅雨明けの風が“白い風”なのは、この風が吹くと梅雨が終わり、天が明るく晴れるからだとか。夏の澄んだ白い雲へと変わっていく、空や雲の色といった視覚的なイメージが風に色をつけたのでしょう。
ちなみに、梅雨の始め頃に吹く湿気を多く含んだ風は「黒南風(くろはえ)」と呼ばれます。季節の変化を上手く表した言葉ですね。
■3:「水母」、「水月」も同じ海のいきものです
「水母」、「水月」、「鏡虫」、「久羅下」など、多くの漢字表記を持つのは、「くらげ」です。
海月という漢字には、海中をゆらゆら漂う姿を夜空の月に見立てたという美しい由来があります。最近はくらげを幻想的に展示する水族館が増え、癒しの空間として注目を集めています。
※「海月」の読み方、知っていますか?「かいげつ」ではありません
■4:名古屋名物のお菓子です
「ういろう」、お好きですか?
外郎とは実は薬の名前なのですが、なぜ和菓子の名前になったのか不思議ですよね。
室町時代、中国から日本に渡来し、「透頂香」という薬を伝えた陳氏が「外郎家(ういろうけ)」と名乗り、その製法を伝えたためという説。もうひとつが、ういろう餅の色が「透頂香」とよくにていたからという説です。後者の方が有力とされていますが、今ではピンクやグリーンなどさまざまな色があるういろう。当時はどんな色だったのでしょうか。
※「外郎」は何と読む?「げろう」ではありません。名前の由来は?
■5:麻布で仕立てた夏の着物のこと
「かたびら」と読み、「生絹や麻布で仕立てた、夏に着るひとえの着物」のこと。夏の和服といえば裏地のない「単(ひとえ)」を指しますが、特に麻布で仕立てたものを総称して「帷子」と呼ぶのです。
和服にくわしくなくても、地名としてご存じの方もいらっしゃるかもしれません。横浜市の「帷子川」や、京都太秦の「帷子ケ辻」など各地に点々とあります。また、苗字としての「帷子さん」は岩手に多いそうです。
※「帷子」正しく読めますか?「いし」ではありません、着物の名前です
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すべて読むことはできましたか? 読めても、意味までは知らないことも多いと思います。じっくりと漢字と向き合うことで、その奥深さに感心し、知的好奇心も刺激されるはず。ぜひ、毎月の習慣として「脳トレ漢字おさらい編」を取り入れてください。
文/編集部