世界4大文明(メソポタミア・インダス・エジプト・黄河)の発展と共に文字が生まれましたが、現在でも使用されているのは黄河文明で生まれた漢字のみです。
日常的に使用していますが、読めそうで読めなかったり、もはや読み方の想像すらできないものまで存在します。近年ではパソコンやスマホの変換機能に頼って、ますます漢字が「読めない」「書けない」人が増えています。
『サライ.jp』でも人気のコンテンツ「脳トレ 漢字」のおさらい企画として、毎月5本をセレクトして、ご紹介します。隙間時間にチェックして、記憶力を鍛えながら漢字の奥深さを楽しんでください。
■1:春を知らせる花は、漢方由来の漢字表記だった!
辛夷は、冬が明ける合図となる花を咲かせる樹木「こぶし」の漢字表記です。
まったく想像がつかない読み方ですが、こぶしの花のつぼみを乾燥させた漢方「辛夷(しんい)」の漢字が、そのまま樹木の名前の漢字に当てられたから。そのため、樹木を指す場合は「辛夷(こぶし)」と読み、そのつぼみを指す場合は「辛夷(しんい)」と読むのもややこしいですね。また、こぶしという和名の語源は、つぼみが開く直前の形が握り拳に似ているからとのこと。
同様にタンポポも漢方から漢字が付けられた植物なんだとか。
■2:夜桜を彩る幻想的な演出のこと
現在の夜桜鑑賞はライトアップが主流なので、なかなか見ることができませんが、花篝とは「はなかがり」と読み、夜桜を観賞するために焚くかがり火のことです。
日本語の美しさを感じる言葉ですね。
なお、現在でも京都の円山公園で花篝が楽しめます。円山公園のシンボルである祇園枝垂桜と共に愛でてみたい風景のひとつです。
■3:産まれた地に関する言葉です
漢字の構成から産まれた地に関する言葉と想像できますが、その読み方はなかなか難解で、「うぶすな」と読みます。「土なのに、すな(砂)!?」と頭が混乱しますが、「産砂」と表記されている文献もあるとか。
生まれた土地を守護してくれる神様である「産土神」を調べて、詣でてみるのも楽しそうです。
■4:歴史小説で多様される、立場が上の人へ目下の者が進言する言葉
答えは「かんげん」もしくは「いさめごと」です。
目上の人の過失などを指摘して忠告することで、歴史小説が好きな人には見慣れた言葉かもしれません。単なる注意や進言ではなく、年上や目上の人へと限定されていることがポイントで、戦国時代など上下関係が絶対的であった時代における言葉のニュアンスが感じられます。
■5:「返却」と「お返し」では、ニュアンスが異なります
生命保険や積立保険などの契約が満期になったときなどに支払われるお金を「返戻金(へんれいきん)」と言いますよね。「預かったものを『返』して、元に『戻』す」という意味を持っています。
同じ読み方で「返礼」がありますが、こちらは「贈り物に対するお返し・お礼」という意味合いなので、間違えないように。
※保険の「返戻金」、何と読みますか? 「かえりもどしきん」ではありません
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すべて読むことはできましたか? 読めても、意味までは知らないことも多いと思います。じっくりと漢字と向き合うことで、その奥深さに感心し、知的好奇心も刺激されるはず。ぜひ、毎月の習慣として「脳トレ漢字おさらい編」を取り入れてください。
文/編集部