歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして…。うっかり漢字の読み方を間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてことになるかしれません。脳の方は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳とってきちゃって、なかなか思い出せなくて…」なんて言い訳するようでは、サライ世代の沽券に関わる? そんなことにならないように、動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。
「脳トレ漢字」第55回目は、「帷子」をご紹介します。ある時期に着る、着物の名前です。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
■「帷子」はなんと読む?
「帷子」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 読みと漢字が対応していないため読みづらいですが……
正解は……
「かたびら」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「生絹や麻布で仕立てた、夏に着るひとえの着物」と説明されています。古くは装束をつける時、汗とりとして着たものでした。江戸時代頃には、夏の単衣で麻製の着物を指す言葉に変化しました。
皆さんの中には、「帷子」という地名や苗字をご存知の方がおられるかもしれません。「帷子」という地名は、横浜市の「帷子川」や、京都太秦の「帷子ケ辻」など各地に点々とあります。また、苗字としては岩手県に集中していると言われています。
■「帷子」の由来とは?
ここからは「帷子」の言葉の由来をご紹介します。
着物はその作りから、大きく二つに分けられます。生地を二枚縫い合わせた裏地のある着物である「袷(あわせ)」。そして、一枚の布でできた裏地のない着物である「単(ひとえ)」です。
この「単」の中でも特に、麻布で仕立てたものを総称して「帷子」と呼びます。つまり「帷子」は、裏地のついた「袷」から裏地を取った片方の一枚、片枚(かたひら)なのです。この「かたひら」が「帷子(かたびら)」の語源だとされています。
■関連する難読漢字「帷幄」は何と読む?
最後に、「帷」を用いた他の難読漢字「帷幄」をご紹介します。
読み方は「いあく」です。そもそも「帷」という字は、「とばり」とも読み、“室内を外と隔てるための垂れ布”という意味です。そのことからイメージできるように、「帷幄」とは「(昔、陣営に幕をめぐらしたところから)作戦を立てる所、本陣」を意味します。
***
いかがでしたか? 今回の「帷子」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 古語が元となっている言葉は字面と読み方が結びつかず、読みづらいものが多いものです。由来と結びつけることで、覚えやすくなるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/